ポプラ社ノンフィクション(45)
ジャングルのチョコレート工場
甘いチョコの甘くない現実に挑んだ大学生
遠いガーナの地でカカオビジネスに変革をもたらした田口愛さんの活動を追う。彼女の考える「境界線をとかすチョコレート」とは?
購入はこちら
遠いガーナの地でカカオビジネスに変革をもたらした田口愛さんの活動を追った児童向けノンフィクション。幼いとき、曾祖父がくれるキラキラの包み紙に包まれたチョコレートが大好きだった。発表会やテストの前には決まってそれを口にして、がんばる力に変えていた。しだいに彼女にとってチョコレートは特別な存在に。ある日「大好きなチョコレートは、誰が作っているんだろう?」と疑問を持った彼女は、ガーナのカカオ農家の貧困や児童労働などを知る。そして、「いつかこの目でガーナの現状を見てみたい」と思うようになった。大学生になった彼女は、夏休みを利用し単身ガーナへ。地元の人にカカオ農家のある場所を教えてもらい、エンプレーソ地域アマンフロム村にたどり着く。村のカカオ農家の人たちと寝食をともにするうちに、その明るい人柄にすっかり魅了された。同時に、カカオ農家の抱える問題も知ることに。彼女は、「大好きなチョコレートにかかわる人は幸せであってほしい」という思いから動き出す。彼女は品質が悪く扱いにくいとされていたガーナ産カカオの品質向上やブラックボックス化していたガーナのカカオビジネスを変えていく。試行錯誤の末、ついにガーナのカカオ豆を使った自身のチョコレートブランドを立ち上げると、たちまち話題に。コンセプトは「境界線を溶かすチョコレート」。生産者と消費者の境界線を溶かし、両者がチョコレートを通して幸せになってほしいという願いが込められている。コロナ禍でも、彼女の活動は続く。クラウドファウンディングで資金を集め、ガーナにチョコレート工場を作った。ここで加工したメイドインガーナのチョコレートを輸出することで、カカオ農家への報酬を飛躍的に大きくすることができると計画している。「社会貢献なんて大きなことをしなくてもいい。まずは周りにいる人に愛を持って接すること。小さなことでも大きな愛で接すれば世界は変わる」という彼女の活動を紹介する。