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ポプラ社小説新人賞

第13回

受賞作品

第13回ポプラ社小説新人賞

第13回ポプラ社小説新人賞は、915通のご応募をいただきました。
一次選考では69作品を通過とし、二次選考では51作品に絞り込みました。
そして三次選考を経て最終候補4作品を決定し、下記の結果となりました。

受賞作(新人賞)
該当作なし
受賞作(奨励賞)
『モギサイの夏』志部淳之介

最終選考作品

  • 『金魚は二万海里を』綿原芹
  • 『大江戸の、夜を越えて』藤本サクヤ
  • 『まっすぐ、夜の青空に向かって』岸本歩子
  • 『モギサイの夏』志部淳之介

講評

全体講評

第13回ポプラ社小説新人賞には、915作のご応募をいただきました。
一次選考では69作、二次選考では51作が選ばれました。
その後三次選考を経て最終候補作として下記の4作品を選出しました。

最終候補作には、個性あふれる魅力的な作品が揃いました。選考会には21名の選考委員が臨み、作品についてさまざまな意見を交わしました。

その中で、廃校寸前の学校を守るために模擬裁判を競技化した大会「モギサイ」での優勝を目指す離島の高校生たちの姿を活写した『モギサイの夏』が、一般的にはあまり知られていないモギサイという競技の過程で成長していく主人公たちの心理描写や、臨場感溢れる試合展開、読者を惹きつける明快なストーリーラインが評価された一方、一部キャラクター造形に難がある点や、クライマックスに配された試合結果の評価基準に対しての疑義があがるなど、作品全体の完成度にいま一歩足らない点があることなどが考慮され、奨励賞の受賞となりました。

他の最終候補作については、各作品の講評をご覧ください。
同時に第14回ポプラ社小説新人賞の募集を開始いたします。
新しい才能に出会えることを期待し、みなさまのご応募をお待ちしております。

  • ポプラ社小説新人賞事務局
  • 吉川健二郎
  • 2024年3月15日

最終候補作品講評

『金魚は二万海里を』綿原芹
友人のアザミに誘われて、パルクールジムの見学に行った女子高生・紗莉。そこで出会ったのは、どこか風変りな四十歳の女性・モモさんだった。年の離れたふたりは徐々に親しくなっていく。しかしある日、彼女が恋愛感情を持たない「アセクシャル」であると知らされた紗莉は、アザミに抱く恋心に苦しんでいる自身の経験からつい「羨ましい」と口にしてしまい……。
繊細でリアリティのある心理描写や、シンプルながらも美しい言葉選びが印象的だった一方、物語の起伏や展開の工夫、人物を補強するエピソードの不足などに課題が見られ、受賞にはいたらなかった。
『大江戸の、夜を越えて』藤本サクヤ
江戸時代末期、弱小旗本の跡継ぎである誠之助と、彼に仕える若侍・秋司と冬儀は、固い絆で結ばれていたが、お家騒動が起こり、秋司は誤って誠之助を斬ってしまう。一方、寺小姓として籠の中の鳥のように過ごす珠希と植木職人の諒は惹かれあうが、とある事情で別れ別れになる。一見繋がりのない二つの物語が交錯した先に、誠之助の死の真相が明らかに――。
長い物語を最後まで破綻なく描き、書き手の熱が伝わってくる作品だった。一方で、体言止めや主語が誰なのかわかりづらい箇所が多発する点や冗長すぎる心情描写が多い点など、拙さを感じさせる箇所も散見された。書きたいテーマや尺に対して、まだ筆力が追い付いておらず、受賞にはいたらなかった。
『まっすぐ、夜の青空に向かって』岸本歩子
母方の実家のある青宝村で、入院した祖母に代わり「玉姫様」という生神の食事係を務めることになった高校生・啓護。村でとれる透明な石が玉姫様の手で命の身代わりになる『贄青石』に変えられ、過疎の村に大きな利益をもたらしていた。だが彼女は太陽にあたることができず、一人で地下に暮らしており――。
過去のトラウマから無気力だった主人公が、実はふつうの人間である玉姫様を解放すべく動き、周囲と交流する中で、少しずつ成長していく過程が丁寧に描かれていた。一方で登場人物たちの造詣が十分に練り込まれておらず印象が薄かったり、ストーリーの都合にあわせた行動をとっていたりといった作り込みの甘さが目立つ点やオリジナリティを感じさせる要素も弱く、受賞にはいたらなかった。
『モギサイの夏』志部淳之介
模擬裁判を競技化した「モギサイ」が人気の世界で、廃校寸前の学校を守るために大会優勝を目指す主人公の蒼汰。内気な性格ながらも転校生の真夏や同級生を巻き込み、徐々に仲間を増やしていく。そして大会本番、強豪校相手に互角の試合展開を演じる中で自らが抱える「トラウマ」に向きあい葛藤する……
キャラクターの内面描写が表面的になっていたり、試合の評価基準には納得のいかない点が目立つなど、粗も多い作品だった。ただ、モギサイという全く新しい競技を中心に、主人公の成長を織り込みつつ、臨場感ある試合展開を描けている点や、どんどん読み進められる明快なストーリーラインなどにも作者の力量を感じたため、奨励賞の受賞となった。

選考経過

1次・2次選考経過

第13回ポプラ社小説新人賞は、915通のご応募をいただき、下記の69篇が1次選考を、うち51篇が2次選考を通過いたしました。

タイトル名 著者名 2次選考通過
遠き空まで 浜田美鈴 ●
サボテンの処方箋 髙田充 ●
薫る内部監査室 高田はじめ
若葉のころを君と駆ける 甘露寺ちどり
ミス・ランポ 藤崎みちる
オープンワールド・トラバース 鈴木捧 ●
竜の宝石への二重奏 白里りこ ●
蛇婿入り 古鏡ゆめ ●
盗人幽霊――ふんどし騒動記―― 小林秀観 ●
透明な歯車 海怒朗
R・S・Pラボ 海怒朗
屍は死にたい 海怒朗 ●
隣人加奈子 凪乃加奈子
五月の桜は葉ばかりさま 霜村麟 ●
スナッチ! 迎ラミン ●
桜咲く時、未来へ 福浦昂 ●
行雲流水然りとて 石本直 ●
君が忘れたディストピア 星雪花 ●
星の彼方のオーケストラ 三月堂弥生 ●
美人 竹条ひと花 ●
恋の行方は神様も知らない フワドーリ野土香 ●
霍公鳥の巣 西村重紀 ●
寒暖かるた 渡辺剛太 ●
龍の季節 田菜 ●
さがしもの、雨のち氷 三月堂弥生 ●
やえの山吹、たかき雲 小林仁 ●
ゴールデンプレイスへようこそ 香泉光希
ふしぎ京都クロスライン―壬生の迷子と金平糖― 馳月基矢
ルーシーグレイよ、ささやいて 吾妻頼 ●
リコーダーの王子様 松澤マチ
ママ・ラヴズ・ユー 犀川まり ●
縫い目の付いたお客様 言葉唯 ●
ぼくらの島 眠子 ●
ハルノカタワレ 桜衣利理子
大江戸の、夜を越えて 藤本サクヤ ●
心中絵巻 霜月セイ ●
金魚は二万海里を 綿原芹 ●
春とミランダ 芦田香織 ●
ネコの恩返し~西陣の染め糸屋立て直しノート 伊勢村朱音 ●
恋文が苦手な代筆屋のウラ事情~心を汲み取る手紙 じゅん ●
探偵はどこに? 山本絵美里 ●
推理小説家の今日の献立 北留伊 ●
好きな人の好きな人を好きな人 村井なお ●
シエスタ 姜詠里
ひより日和 芹川なずな ●
ハロー雑司ヶ谷 樋口毅宏
笑えぬ噺 本間英治 ●
もう一度、アオにであう 吉田隆之
春秋 下小田山晴男
チェイス×チェイス×チェイス 遠藤遺書 ●
一億円の歌姫 日高見 ゆう
時の迷い路 蜜柑桜 ●
蜜柑と渋柿のハーモニー ふるたみゆき
かわいいこ カヨコ ●
まっすぐ、夜の青空に向かって 岸本歩子 ●
ノードロップ 真貝学 ●
発話代行サービス・イストリア 眠理葉ねむり ●
スイングバイ・ブルー 羽鳥ユイコ ●
ゆきはやさしくふりつもる 渡良瀬十四 ●
もう一度だけ話せたら、本当のことを言ってほしい 岩月きさらぎ
SANDS 瀬鳰リタ
アオの音 伊矢祖レナ ●
ぼっち猫と、わんこ配達員 橘花やよい ●
華地獄 青野晶 ●
八重姫様御大変 悠井すみれ ●
プールと春の蕾は 森春子 ●
鴨とりと世界塔 茶句原 貫 ●
モギサイの夏 志部淳之介 ●
今日は夕立、のちに炎天 清水裕貴 ●
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