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ポプラ社小説大賞

第3回

受賞作品

第3回ポプラ社小説大賞

大賞 該当作品なし

受賞作(優秀賞)
『ロッカー』晴海親房(はるみ・ちかふさ)39歳・男性
受賞作(特別賞)
『RANK』真藤順丈(しんどう・じゅんじょう)30歳・男性
受賞作(特別賞)
『夏の終わりのトラヴィアータ』永島順子(ながしま・じゅんこ)39歳・女性
最終選考作品
  • 『ロッカー』 著者名:晴海親房(はるみ・ちかふさ)39歳・男性
  • 『RANK』 著者名:真藤順丈(しんどう・じゅんじょう)30歳・男性
  • 『夏の終わりのトラヴィアータ』 著者名:永島順子(ながしま・じゅんこ)39歳・女性
  • 『涙のあとには虹が出る』 著者名:藤ノ木陵(ふじのき・りょう)25歳・女性
  • 『魚』 著者名:千早 茜(ちはや・あかね)28歳・女性

講評

全体講評

第3回を迎えたポプラ社小説大賞は、幅広い年齢層の方から、1109作品という多数のご応募をいただきました。第2回、第3回と回数を重ねるごとに応募作品が充実していくのを感じております。昨年は、大賞は該当作なしという残念な結果であったため、今回は大賞にふさわしい作品を心より期待しておりましたが、不本意ながら、大賞作を出すにはいたりませんでした。

しかしながら、最終候補に残った5作品はバラエティに富み、選考は大いに盛り上がりました。

選考においては、出席者全員が例年と同様、心から楽しめる作品を世に送り出したいという強い決意をもって、作品に向き合いました。一次選考では、36作品を通過とし、二次選考では、10作品に絞り込みました。そして三次選考を経て、左記の最終候補5作品を決定しました。

優秀賞の「ロッカー」はほぼ全会一致で決定。不登校の少女の心情がロックを通じて、成長していく様を描いた本作は、読み手をぐいぐいと引っ張る力強いエンターテイメント作品でした。また今回は、大賞・優秀賞の授賞には至らないまでも今後書籍化を見込めるクオリティの作品に対して、特別賞を設け、2作品を選出しました。詳しくは、各作品の講評をご覧ください。

同時に第4回ポプラ社小説大賞の募集を開始いたします。私たちは心の底から、新しい才能、新しい小説との出会いを求めています。

みなさまのご応募をお待ちしております。

  • ポプラ社小説大賞事務局
  • 事務局長 横田亮介
  • 2008年7月15日

最終候補作品講評

優秀賞『ロッカー』晴海親房(はるみ・ちかふさ)39歳・男性
不登校の女子高生、美実。小学4年生のころに、ある事件で友だちを失って以来、人と距離を置くようになってしまった。プロ並のギター奏者であり、高校教師であるイトコの永生にだけは唯一心を許し、いかがわしいDVDなどが転がった家に頻繁に訪れていた。永生を通じて知り合った女性しか愛せない女性教師、わが道を突き進む女性総合格闘家、ギターを永生に教えてくれとせがむ同級生などと付き合っていくうちに美実の心は少しずつ開いてゆく。
内にこもる少女の孤独と解放を、あくまでエンターテイメントらしい筆致で描いた気持ちの良い作品。ラストシーンには、選考委員の誰もが好感を持った。題材の新鮮味にやや欠けることと、物語のテンポが単調に感じられるところがあり、惜しくも大賞を逃した。
特別賞『RANK』真藤順丈(しんどう・じゅんじょう)30歳・男性
電子機器による監視ネットワークと、個人にかかわるデータの自己申告によって、国民に絶えず順位を付ける制度〈RANK〉(ランク)が施行される近未来の日本。低位にランク付けされた人間の抹殺を業とする公務員「執行人」の中には、任務に疑問を抱く春日と、天性の歪んだ正義感のもと暴走していく佐伯がいた。対照的な二人の青年を軸に、制度に翻弄される人間群像を描くディストピア・アクション。
細部まで考え抜かれた設定で、長尺の力強いエンターテインメントを描ききる豊かな筆力が高く評価された。反面、読みごたえの点で長所と裏表ではあるものの、多くのエピソードが未整理である点が問題となり、惜しくも特別賞受賞となった。
特別賞『夏の終わりのトラヴィアータ』永島順子(ながしま・じゅんこ)39歳・女性
母親の遺品を整理するために故郷である港町・美鷲を訪れた須賀哲司。東京での暮らしに疲れ果てていた須賀は、お盆を迎えるために美鷲に滞在していた同い年の福井喜美子と出会い、三十九歳の夏を共にすごす。須賀は次第に喜美子の優しさや町の温かさに心を癒され、生きることの喜びを感じられるようになる。
人生の岐路に立った男女がそれぞれの人生を見つめ直す夏を、テンポよく鮮やかに描いた作品である。全体を通して筆致に安定感があり今後が非常に期待できる書き手である。前半のストーリーの立ち上げ方の上手さに比べ後半がややもたつき、ありがちな展開になってしまったという点で大賞・優秀賞の受賞を逃したが、選考委員の中でも特に女性からの支持が強く、特別賞の受賞に至った。
『涙のあとには虹が出る』藤ノ木陵(ふじのき・りょう)25歳・女性
画廊の御曹司巧は、有名画家・プッサンの真作が発見された報を受け、ニースの富豪との間で取引するためフランスを訪れる。その旅にはひょんなことから留学時代の友人でフランス語教師のクリストフと、その教え子の老人、三田が同行することになる。一方フランスのドイツ人留学生マリアは、フランスの民話研究から、秘宝・キリストの涙の謎に迫るが……二組の探索と旅が交錯する、美術ミステリー。
人物描写の軽快さと、膨大な美術や聖書に関する知識を、物語の中に自然に織り込む語りの技術が高く評価された。一方で、展開のポイントが絞れておらず冗長であること、先行する同ジャンルの作品に対して新しい魅力が提示できていないことが課題となり、賞を逃した。
『魚』千早 茜(ちはや・あかね)28歳・女性
はるか昔、多くの遊女を抱える一大遊郭を中心とする川の中の島。孤児で伝説の遊女と同じ名を持つ白亜と弟のスケキヨは、廃れた町で互いだけを頼りに育ってゆく。美しく成長した白亜と虐げられ鬱屈したスケキヨは、それぞれ妓楼と陰間屋に売られ、ある時決定的な仲違いをしてしまう……現代と江戸時代が混淆する閉じられた世界を舞台に、美しい女の一人語りが紡ぐ年代記。
全体の構成力に欠ける、特異な世界設定の中に矛盾があるなど難点も多いが、心に刺さる鮮烈な表現が随所にあり、唸らされた。今後が期待される。

選考経過

第3回ポプラ社小説大賞は1109作品のご応募をいただき、下記の36作品が一次選考を、そのうち10作品が二次選考をそれぞれ通過いたしました。

タイトル名著者名2次選考通過
香族七草一月
ステップ!塩崎早苗
さまよえる沖縄人照井 裕
黒い禊桐生 慎
ビーナスは枯れない荻野美和
批准濃度35名外ヲシィロ
風鈴街中山閑賀
明日跡安堂子純
豆若の器
涙のあとには虹が出る藤ノ木 陵
ハルペワッタの風藤森 絢
ロッカー晴海親房
ミケランジェロの靴九条 玲
怪獣の棲む講堂物語志波私考
時空音楽隊近藤 章
千早 茜
マドリガル原田 譲
チッ、ろくなことないぜ、エイト當間しゅう
二階の恋文屋中島隆善
七不思議のケヒーオニャンコなべ
霊能通訳アカデミー園 香乃
ステインバーク通過収容所白水 隆
スウィート・ハート・ユー・アー・ソー・クルエル麻倉サトシ
悪霊のいる蜜月国谷 馨
1987年の前奏曲――心優しき少年(ギャング)達三輪和哉
のびっぱなしのディコード宮崎美舟
くんくんとくまごろの大冒険あいばくりす
青空に浮かんだ町奥 篤史
17歳の戦棋國生五月
カチガラス桜庭 馨
シーモア2000夏季アルバイト生に贈る唄 もしくはサーフボードの作り方志規醇乎
おもしろい肉体禅那
RANK真藤順丈
ウィズ・ユー、ウィズアウト・ラブ沖田一宇
荒れ地に咲いた花白河舞衣
夏の終わりのトラヴィアータ永島順子
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