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ポプラ社小説新人賞

第10回

受賞作品

第10回ポプラ社小説新人賞

第10回ポプラ社小説新人賞は、876通のご応募をいただきました。
一次選考では、124篇を通過とし、二次選考では36作品に絞り込みました。
そして三次選考を経て最終候補5作品を決定、下記の作品が新人賞の受賞となりました。

受賞作(奨励賞)
『つま先立ちで暗闇を』仲田詩魚
受賞作(奨励賞)
『貴公子探偵はチョイ足しグルメをご所望です』相沢泉見
受賞作(奨励賞)
『かなしい花などないから』幡野京子
受賞作(奨励賞)
『ちぐさ弁当帖』葵日向子

最終選考作品

  • 『つま先立ちで暗闇を』仲田詩魚
  • 『ラスト・ドレス~さつき葬儀社被服部のシンデレラ』皆月玻璃
  • 『貴公子探偵はチョイ足しグルメをご所望です』相沢泉見
  • 『かなしい花などないから』幡野京子
  • 『ちぐさ弁当帖』葵日向子

講評

全体講評

第10回ポプラ社小説新人賞には、876作のご応募をいただきました。
一次選考では124作、二次選考では36作が選ばれました。
その後三次選考を経て最終候補作として下記の5作品を選出しました。

今回の最終候補作には、バラエティに富んだ、魅力のある作品が揃いました。選考会には弊社社長の千葉均を選考委員長とした計15名の選考委員が臨み、作品についてさまざまな意見を交わしました。

その中で、同じ中学に通う3人の少女の悩みや成長を描いた『つま先立ちで暗闇を』は、10代前半の息苦しさや生きづらさをリアルに描いている点が評価され、物語の奥行きや構成が弱い部分がありますが、奨励賞の受賞となりました。
『貴公子はチョイ足しグルメをご所望です』は設定やキャラクター、リーダビリティが高く評価され、謎解き部分の粗さはあるものの、奨励賞の受賞となりました。
親を亡くし園芸店に勤める独身女性が周りとの関わりの中で自分の人生を見つめなおしていく『かなしい花などないから』は、独り暮らし女性の心もとなさや孤独を丁寧に描く筆力が評価され、全体の印象はやや弱めではあるものの、奨励賞の受賞となりました。
夫を探すため、江戸で弁当屋を開いた女性が、買いに来る人の想いをくんだ弁当をつくる『ちぐさ弁当帖』はキャッチーな設定や構成の上手さが評価され、筆力がやや弱い点が見受けられますが、奨励賞の受賞となりました。

詳しくは、各作品の講評をご覧ください。

同時に第11回ポプラ社小説新人賞の募集を開始いたします。
今年から、ウェブでの募集も始めます。
新しい才能に出会えることを期待し、みなさまのご応募をお待ちしております。

  • ポプラ社小説新人賞事務局
  • 吉川健二郎
  • 2021年1月22日

最終候補作品講評

『つま先立ちで暗闇を』 仲田詩魚
学級委員で吹奏楽部部長の優等生でありながら自信を持てないでいる明日香。不登校の経験があり自分は「嫌われやすい」と思っている早熟な芙美。周囲に流されない芙美の存在が面白くないカースト上位の莉子——。同じ中学校に通う3人の少女それぞれの一人称視点で、個性と人間関係の悩みに揺れうごく日々と成長を描いた青春小説。
エピソードやセリフに独特の味わいがあり、10代前半の息苦しさ、生きづらさ、ままならなさを鮮やかに浮かび上がらせた。ことに芙美と隣家の少年・健二とのやりとりは、不安と明るさが交錯し、みずみずしい陰影に富む。さまざまな問いを内包しながらも、ストーリーのなかでテーマを焦点化しきれなかったことが惜しまれる。登場人物の配置や描き分けの甘さなどの課題もある。ただし、読者を惹きつけてやまない場面の磁力や描写の鮮烈さは書き手としての可能性を十分に感じさせ、今回は奨励賞となった。
『ラスト・ドレス~さつき葬儀社被服部のシンデレラ』 皆月玻璃
被服専門学校に通い、憧れのファッションブランドに就職した二十歳の糸花。不倫の末、捨てられ絶望し、東北の町で飛び降り自殺をしようとしたところ、葬儀屋の霜に出会い、葬儀屋の被服係として働くことになる。糸花は、さまざまな人の死を、衣装をつくる観点から見守っていく。
葬儀社×服飾という設定が魅力的で、葬儀屋という職業について丁寧に描かれており、糸花がそれぞれの個人にあわせて服作りに熱心に取り組むさまも好ましく感じられた。登場人物たちのキャラクターや心情描写が弱く、情感の盛り上がりに欠けた。またテーマである「服」が効果的に使われていない部分も多く、構成力の弱さが見受けられたことや、死そのものや遺族の感情を描く部分で丁寧さに欠けるところがあり、今回は受賞とならなかった。
『貴公子探偵はチョイ足しグルメをご所望です』 相沢泉見
貧乏な家計を助けるため、住み込みの家政婦をしている三田村一花は、松濤の大邸宅に住む金髪碧眼の美少年・東雲リヒトの家で働くことになる。リヒトは趣味の謎解きを生かし、お金持ちから持ち込まれる事件を解決していた。食への興味が薄いリヒトに、一花は母仕込みのチョイ足し料理をふるまう。その料理がきっかけとなって、リヒトは厄介な事件を解決していく。
コミカルでキャッチーな設定であり、それぞれのキャラクターが立っていて、リーダビリティもあった。チョイ足しグルメも手軽に試したい気持ちを起こさせてくれるものが多く、筆力の高さが感じられた。謎解き部分は、展開や犯人の予想がつくところもあり、もう一歩ひねりを意識してほしかったが、今回は作家の将来性を期待して奨励賞での受賞となった。
『かなしい花などないから』 幡野京子
親を亡くし、園芸店に勤める独身女性の咲月は、折り合いが合わない姉の娘を預かることになる。姪や周りの人々と過ごす中で、咲月は、自分の人生を見つめていく。
地に足のついた実直な文章で、独り暮らしの女性の生きる様や心の機微がリアルに丁寧に描かれていた。植物にまつわるエピソードも、ドラマの中に上手に織り込まれており、主要メンバーそれぞれが抱えている孤独や我慢、苦しみは共感できる部分が多かった。周辺の人物にはある程度ドラマがあり、それぞれ変化していくが、主人公がずっと傍観者のようなスタンスであるため、物語にメリハリや盛り上がりが感じられず、主人公についてはもっと掘り下げる必要があるのではと感じた。日常に潜むささやかな人の心の機微をすくいとる力を感じたため、奨励賞での受賞となった。
『ちぐさ弁当帖』 葵日向子
横領と殺人の容疑をかけられ出奔した夫をもつ千種が、夫の無実を信じ、彼を探すために義兄と江戸に出て、弁当屋を開く。千種は弁当屋を訪れる人達の想いをくんだ弁当を作る。
江戸時代のお弁当屋という魅力的な設定であり、「弁当」の楽しさや優しさ、あたたかさを生かしながら、人情味あふれる物語に仕上がっていた。弁当で問題を解決するというグルメ小説の肝をしっかりと抑えながら、夫を探すという縦軸につなげていく構成の上手さも光った。弁当屋という設定についてリアリティを感じられない箇所がいくつか見受けられ、会話や地の文、お弁当の描写などの表現力において弱く感じられる部分があった。また、クライマックスの消化不良感も気になるところだったが、作家の将来性を期待して奨励賞での受賞となった。

選考経過

1次・2次選考経過

第10回ポプラ社小説新人賞 1次・2次選考通過作品発表
第10回ポプラ社小説新人賞は、876通のご応募をいただき、下記の124篇が1次選考を、うち36篇が2次選考を通過いたしました。

タイトル名 著者名 2次選考通過
奏鳴曲 森九星
未来からの物語 色部耀
勇気あるよ 千葉元正
依頼は生徒会へどうぞ 真
演劇プミエール 田中ヒロマサ
動くPは四六時中 高良部大佑
月の鋼の未完の翼 母守亨
カドミウム・オレンジ 織田みずほ
エースの背中 滝川誠 ●
ゆくゆん 黒藪千代
水窪和国騒動 大槻丈晴
Wormhole 竜宮城 杉山政樹
戦うポリスマン 栽田裕一
Dr.タカバタケと「彼女」の惑星移民 PJ
タイムカプセルと女子高生の秘密 川崎なお ●
センターマイク 渡辺剛太 ●
他人の子 守尾六
そんなつもりは ないけれど 菅野友里
死霊アイドル 田井庸介 ●
満月とジャック 七瀬あきら
神楽坂さんのアニマル事件簿 滝川直輝
がんばれ 和田美咲病院 前川透
露草街と約束の記憶 重政有
坂の下のアモリー二 森野塁
いつどこで誰と 山瀬こまき
あなたの右側でずっと 伊藤綾乃
コーヒーショップライフテクノロジー 西園啓明
田中さん夫婦のところ 雪野あおい ●
居酒屋 赤ちょうちん 桐生燈子
つま先立ちで暗闇を 仲田詩魚 ●
26歳の自殺未来 広瀬翔之介
パライバトルマリンの世界 紅森円十郎
月空に降る雫 反保朋子
死なない僕らの死に方探し 蛍火
カジノ・ドライヴ 遊馬徹
クスノキ様の子供 バーニー
朝まだき 東山未玲
アケノシン 新井しゅう ●
天の扉を開く巫女/地の禍を悟る姫 星雪花
黄桃 雪野ゆきの ●
女になりたい俺、男にあこがれる君 田中ケケ
星のゆりかご 上田千尋
ラディアン・ブルーは夜明けにすすり泣く 綾野あき
さよなら カカシ 高芦帆立 ●
ラスト・ドレス~さつき葬儀社被服部のシンデレラ~ 皆月玻璃 ●
残響と椿 瓜生雄輝 ●
花ごころ 浜田美鈴 ●
星霜のブルー 白夏漣人
山桜桃の実を食むころ 藤野ヒカゲ
クローバー 真白涙
虚構の教室 清水裕貴 ●
バックベイの恋人 神原月人
ずっとあの青を探してた 宮里イツキ ●
疫病神と公爵令嬢 多田あおい
貴公探偵はチョイ足しグルメをご所望です 相沢泉見 ●
石の都のイシュカ 源宵乃
ムスカリ 向井メグミ
元は木阿弥 中南元伸
読書番と遺訓の栞 日野原奈緒 ●
こころ 殺人事件 夢野旦
ある日突然の亡命 岡崎がん
トランジット 夏衣優綺
靄のち晴れ 神石ユウリ
舞台裏の嘘を暴くな おそらく村戸
恋するハンマーフリューゲル 山本しお梨
ボックス ベッセル 結ヶ屋英
最後の宝物 カヨコ
百花繚乱 宮路さつき
初恋が2回死んだら 中山史花 ●
小森神社で鈴が鳴る頃 森川響 ●
ひぐらし 燦々 宮路さつき
まほろば 祓所 大田咲子
僕たちの軌跡 村上敬
姫子物語 上原千佳
いつどこで 山瀬こまき
スカート! 江戸川雷兎 ●
晴れた日のポークジンジャー 朝永くるみ
デットエンドロール 広山静
叶田市 マイムマイムレボリューション あさげ羽斗子
瞳の中にきらきら光る 鹿児島ひとみ
明日も晴れるよ 吉岡甘夏 ●
団子屋の娘は太らない 一杉エイジ
タイムワープママ えるざ桃子
蔵守り 三ツ矢柚子
まちに、あかりを ホソ川ユカコ
グレースケールに青 玄武聡一郎
呪い姫 位ノ花薫 ●
カレーとライスの境目 高田充
薔薇湾のルージュ・ダンディ 成沢京華
恋秘めて 大見某 ●
あのセミはきっと夏が知りたい 若崎拓馬
ナナシ荘の料理係 天原カナ
二週間の探偵 咲良菜緒
ファインダーの向こう側 じゅんれいか ●
まぶしくても。遠くても 吉田隆之
朝顔師 五十鈴りく
赤と黒のダンス 島村優輔 ●
十二までに知る人 日吉真波
供物屋の結 本田八重 ●
ヌシと夏生 川中小石
浅草お転婆娘事件南天 有咲結 ●
わかるわかんないといつまでも いちくちとけい ●
山村ラプソディー 新井ヨシコ
あったることものがたり 牛島慶子
時間売りのショウ女 川出望美 ●
弱者の反撃 矢歌粋 ●
ACE 鷹条雪子
廻る透明のウィール 天乃井風画 ●
迷迭香 陽向晃央
十二階下の魔女 立花幸平
千夏と灰色のバス 齋藤なつき
あの夏の「恋愛ごっこ」の続き 吉田タツヤ ●
魔女のマリッジコンサルタント 大森あるま
囚われの人形の村 鳴神雪花
霧島刑事事件簿 夜の街の狂気 輝樹奈
下町つくも神譚集 桜木裕次郎 ●
酒田の町でまた 富山航平
隣のサンタクロース 小暮ちまこ
かなしい花などないから 幡野京子 ●
月猫と鬼灯 しまもとあき ●
音のない世界に リトル・シマサト
全て姉のせいだと思っていたのに 門外林檎
白き反逆と 篠城暁 ●
ちぐさ弁当帖 葵日向子 ●

応募の決まり

第10回ポプラ社小説新人賞 作品募集
あなたの〝面白い〟を届けてください。

ポプラ社小説新人賞は今年で第10回を迎えます。
前身のポプラ社小説大賞を含めると、『食堂かたつむり』の小川糸さん、『四十九日のレシピ』の伊吹有喜さん、『ビオレタ』の寺地はるなさん、『日乃出が走る』の中島久枝さんなど、数々の人気作家の方々がデビューされてきました。

以前より続く、弊社の新人賞の特徴は、編集部にて審査を行うということです。
一人の読者として、純粋に〝面白い〟と思い、一人の編集者として、最高の一作をともに作り上げたい、と願う作品を選びます。
皆さんが誰かに届けたい〝面白さ〟が凝縮された作品を、編集部一同心よりお待ちしております。

対象 エンターテインメント小説を求めます。ジャンルは問いません。
日本語で書かれた自作の未発表作品に限ります。
原稿枚数 400字詰め原稿用紙換算200枚~500枚。
手書き原稿は不可とします。
ワープロ、パソコンなどで、A4判の用紙を横置きにし、1枚あたり40字×35行にて縦書きで印字してください。また、必ず通し番号を入れてください。
フォーマット 1枚目にタイトル、氏名または筆名(フリガナ)、400字詰め原稿用紙換算枚数をお書きください。
2枚目以降に内容紹介(原稿用紙1-2枚程度)を書き、本文の前に添付してください。
別紙にタイトル、氏名(フリガナ)、筆名(フリガナ)、性別、職業、年齢、略歴、郵便番号、住所、電話番号、メールアドレス、この賞を何で知ったか、を必ず明記し、作品と一緒に綴じず、同封してください。
※原稿は紐でとじずにダブルクリップでとめて下さい。
選考 編集部にて審査
賞 新人賞 正賞記念品  副賞200万円
※入賞作品はポプラ社より刊行
締め切り 2020年6月30日(当日消印有効)
今年の募集は終了しました。
発表 2020年12月10日(ポプラ社ホームページおよびポプラ社発行PR小説誌「asta*」にて)
諸権利ほか 入賞作品の出版権及び二次(的)利用の諸権利は弊社に帰属します。出版の際には規定の印税が支払われます。
注意点 応募原稿はいかなる場合にも返却しません。
必ずコピーをお取りください。
他の文学賞との二重投稿は失格とします。
審査に関するお問い合わせには一切応じられません。
応募先 〒102-8519 東京都千代田区麹町4−2−6 住友不動産麹町ファーストビル9階
ポプラ社内「ポプラ社小説新人賞事務局」

※応募された方の個人情報は適正に管理し、本小説新人賞以外の目的に利用することはありません。

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