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ポプラズッコケ文学新人賞

今を生きる子どもたちが「お腹を抱えて、笑い、そして心から泣ける」児童文学作品を全国から募集します。

第11回

総評

第11回ポプラズッコケ文学新人賞

「第11回ポプラズッコケ文学新人賞」にご応募くださいました皆さま、誠にありがとうございました。

今回は、一般応募、ウェブ応募と、合わせて総数193編のご応募をいただきました。その中から、7作品が二次選考へ進み、9名の選考委員が選考にあたりました。議論を重ねた結果、最終選考に5作品を選出いたしました。

 2021年7月、これまで本賞で特別審査委員を務められた那須正幹先生が肺気腫のため逝去されました。「子どものための文学の未来を担う、才能ある新人がはばたく窓口になる賞を」──先生のそのご遺志を継ぎ、今回は『ズッコケ三人組の大研究』『同Ⅱ』『同ファイナル』の編者である児童文学研究者の宮川健郎先生に特別審査委員として加わっていただき、弊社編集部員と合わせて13名の選考委員で、作品についてさまざまな意見を交わしました。

 最終選考に進んだ5作品は、「読ませる作品ばかりで、いずれもレベルが高い」と、選考委員からそれぞれ評価され、作品から見える作者の書き続ける意思や読者である子どもへの思いを読み解きながら議論いたしました。その結果、大賞に八槻綾介さんの「ややの一本! 剣道まっしぐら日和」、編集部賞に広山しずさんの「明日、あした、また明日」が選出されました。

「ややの一本! 剣道まっしぐら日和」は、「正しい」剣道を実践できる場を求めて奮闘する中学生の物語です。長い作品ではあるものの一気に読ませる高い筆力で主人公たちの姿を生き生きと描き出します。選考委員一同、八槻綾介さんの今後の活躍を期待しています。
「明日、あした、また明日」は、「文章力が高く、作品から作者の『子どもを描きたい』という意思を感じる」と評価されました。

「ポプラズッコケ文学新人賞」の主役は子どもたちです。物語で子どもたちをいかに描けるか、読者の子どもたちをいかに夢中にさせるか。作品に問われるのは、ただそのことです。現代を生きる子どもたちを見つめ、新しい視点で子どもたちにドキドキとワクワクを届ける作品をこれからもお待ちしております。

最終選考会のもようを「ポプラ社こどもの本編集部note」で宮川健郎先生に書いていただいています。どうぞお読みください。
https://note.com/poplar_jidousho/n/nf8eab9d4c39b

大賞 副賞100万円

受賞作品

受賞作(大賞)
『ややの一本! 剣道まっしぐら日和』八槻綾介さん
受賞のことば

 私は、本を読まない子どもでした。
 体を動かして遊ぶことの方が大好きで、公園を見るとわくわく。石垣のような登れそうな壁を見ると、ダメとわかっていても、ついついよじ登ってしまったものでした。
 たぶん、前世は忍者だったのだと思います。ニン!
 そんな「じっとしている」ことも、「活字を追う」ことも苦手な私が、唯一、地蔵のように固まって夢中で読んだ本が「ズッコケ三人組」のシリーズでした。
 その魅力の一番は、そこにある、たくさんのわくわくだったと思います。
 わくわくすることは、生きる力になります。
 ほんのちょっとでもいい。
 私も、どこかにいる誰かの、心の支えとなるような作品を作っていけたらと思います。
 そしてその誰かが、どんな時でも、小さなわくわくを見つけられるような大人になることを願って、私は作品を書き続けていきます。
 憧れの那須正幹先生に私の作品を読んでいただくことができなかったのは、本当に残念ですが、きっと天国から千里眼で読んでくださっていると信じています。
 最後に、この瞬間までに出会ったすべての人に、感謝を申し上げます。誠に、ありがとうございます。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

  • 八槻綾介

あらすじ

 国竹ややは、中学一年生。小学生の頃は仲間とともに剣道に打ち込んでいたが、道場の先生が亡くなったことで、夢中になれるものを失ってしまっていた。そんな中、担任のすすめもあり、ふたたび剣道をするべく剣道部の立ち上げを目指すことに。しかし、思うように部員が集まらず、ややの前には高い壁が立ちはだかってしまう。
 ややの最大の目標は、立ち上げた部で剣道の大会で優勝し、かつて親友だった一香を竹刀で倒すこと。やがてどうにか部員を集めたはいいが、次に稽古場所がないという問題も発生。
 つぎつぎにふりかかる難問に、ややはどう立ち向かっていくのか。ややの明るくはじけた性格も魅力的な作品。

選評

 最終候補のなかで一番長く、でも、一番筆力を感じさせる作品で、一気に読ませます。
 作中では、武道としての剣道と、勝つことだけを考える剣道の対立が明瞭に描かれ、そのことによって作品が成立します。小学生だった主人公の国竹ややたちに、武道としての「正しい」剣道を教えてくれた真善美道場の古友先生はもう亡くなってしまって、中学校に入学したばかりのややと仲間たちは、喪失感をかかえています。その「空白」を埋めるのが剣道部の創設ですが、それは、何度も危機におちいるのです。ややたちの前に立ちふさがるのは、「正しくない」剣道を代表する帝徳中剣道部顧問の下手先生です。やがて、ややの担任の土井先生が「正しい」剣道のほうに回り込んで、強くバックアップしてくれます。以前の仲間の一香が帝徳中剣道部からややたちのところに戻ってきて、物語は、ようやく「出口」を見出します。
 大賞のこの作品は、子ども読者に手渡せる本になるように書き直されることになります。転校してきて、剣道部に入るリョウをとおして語られる性の多様性の問題など盛りだくさんのところも見直されるかもしれません。それでも、女子中学生たちの会話とスピード感のある文章で作品世界を拓いていった生々しさが、どうか失われませんように。めちゃめちゃなのに一途で、どうしても応援したくなる、ややに本のなかで再会するのを楽しみにしています。
  • (特別審査委員 宮川健郎先生)
 誰もまねできないような行動力とインパクト抜群の個性を持つ主人公のやや。ややの魅力に物語が終わるまで「応援したい」と思わせる作品でした。また、主人公以外の登場人物ひとりひとりに対しても、きちんと描きたいという作者の姿勢がうかがわれ、好感を持ちながら物語のドラマティックな展開を楽しむことができました。
 ただ、「剣道経験者でないとわからない・想像できない場面も多いのでは?」「物語で問われている『正しい』剣道というのはどんなものかわからない」「トランスジェンダーの友人の扱いに疑問を感じる」など、粗削りな部分も目立ったように思います。描き切れていない要素が多いことが逆に作品全体のボリューム感につながってしまっていて、「刈り取り」の推敲が必要と感じられましたが、この作者にはその筆力があると選考委員一同が声をそろえました。
 魅力的でパワーあふれるキャラクターを子ども読者に届ける作家として、これからたくさんの新作を書きつづけてほしいと思っています。
  • (選考委員一同)
編集部賞
「明日、あした、また明日」広山しずさん

あらすじ

 中学一年生の深町勇太はある日、「同じ日がくりかえされている」ことに気づく。これは「リテイク」という未来の技術で、転校生の叶多は、リテイクを実施して未来を復元する役割を担っているのだという。本来、過去の人間はリテイクに気づかないが、勇太だけが気づいてしまったのだ。
 リテイク3回目の放課後、いじめっ子のクラスメイトの小宮大輔が川で事故死。そしてリテイク4回目。勇太は大輔を助けるために事故前の川へ向かうが……。
「未来は変わる」と信じて行動する少年が、いつしか「昨日までの自分とは違う選択」をするようになる。SF的な手法を用いたユニークな成長物語。

選評

 最終候補のなかで一番文章力を感じます。主人公の勇太が「僕」として語りますが、一つのセンテンスにのせる情報量がごく適切な文章がすとんすとんと決まっていきます。
 人類がほろびる未来を救うために現在を様々に操作する「リテイク」というアイディアも秀逸です。主人公はあえて等身大の中学生に描かれていますが、クラスメイトのカズたちは魅力的です。そして、なぞの転校生、叶多。しかし、勇太の9月2日が5回繰り返されるために、作品は、単調さを招きよせてしまいます。5回は少しずつちがっていて、それが主人公に変化をもたらすのだけれど、ちがいを書くために文章は説明的になりがちです。その意味で、「リテイク」が作品にブレーキをかけています。ただ、この文章には、新しい世界を創る力がある。今後に期待します。
  • (特別審査委員 宮川健郎先生)
 主人公をはじめとする登場人物が、読者と等身大の子どもたちとしてよく描かれ、読者が心を寄せ、わくわくしながら読める作品であることが、いちばんに評価されました。文章の語り口のよさも際立っていました。
 ただ、同じ日がくりかえされる「リテイク」という設定については、面白いが設定に不備があり、既存の「時間をくりかえす」作品を超えられていないように思います。「リテイク」の仕組みの説明部分もややわかりにくく、もう少し整理する必要があったのではないでしょうか。また、主人公が実は‶地球最後の子ども”であったというラストも唐突で、読んでいて納得がいかない、腑に落ちないとも感じられました。ですが、子どもの日常を新鮮な手法で描く、そのチャレンジ精神は高く評価したいと思います。
  • (選考委員一同)

最終候補作品

「巻き尺と三角スケール」まえまさとさん

あらすじ

 小学六年生の計介は劇団の団長をつとめる母親と暮らしている。「お母さんはいつでもポジティブ。でも僕は違う」と考える計介。学校でもあまりしゃべらず孤独な日々を過ごし、家の棚の奥で見つけた「MM」と書かれた巻き尺だけが友だちだと感じていた。
 夏休み、母親の劇団が地方公演に行くことになり、計介は設計工房を営む祖父の家に預けられることに。そこで計介は、三角スケールを祖父から渡され、「家族は、目盛りは違うけれど、本体はつながっている三角スケールのようなもの」と感じるようになるのだった。

選評

 偶然見つけた謎の巻き尺から、主人公は、自分が「設計が好き」ということに気づき、はじめての友だちができます。そして物語では、それまで存在も知らなかったおじいちゃんと過ごす日々、お父さんとの出会いを描き、こうしたさまざまな要素を組み込みながらも、主人公が世界を広げていくようすをとても巧みに展開しているところが高く評価されました。
 読みやすい文体でとても面白く読める一方、演劇に夢中すぎるお母さんのキャラクター設定と描き方が大仰な印象を受けました。また、家族の「血縁神話」にとらわれすぎているところに引っかかりを感じました。母親以外の登場人物の個性の描き方、子どもらしく自然でユーモラスな主人公と友だちの会話など、とてもよい面も多くあり、これからの新作に期待したいと思っています。
  • (選考委員一同)
「ジオードで輝く」植森まゆさん

あらすじ

 ジオードとは「晶洞」。岩の中に宝石ができたもののこと。中学三年生の坂下要は、自分をそういう存在だと思っている。学校での自分は「カッコいい男子である要くん」で、それがクラスでうまくやっていくための術だと心得ているためだ。しかし、要にとってそれは、心の性別を偽ることだった。不便な学校生活の中でどう生きていくべきかを模索する日々を送る要だったが、家庭環境に悩みながらも堂々と生きる古川さんとの出会い、友人アッコとの関係などから、要の心境にも変化があらわれる。美しい文章で紡ぐ友情の物語。

選評

 複数の登場人物の視点で描かれたオムニバス形式の作品。それぞれの短いエピソードがどれも印象的で読ませるものであることが評価されました。また、トランスジェンダーの友人の存在をとても自然に描いているところも好感が持てました。ただ、自然に描けてはいるものの、もう少し踏み込んだ人物描写も欲しかったように思います。
「今風」で読みやすい文体だけでなく、物語のテーマのとらえ方、トレンドへのアンテナ、「ジオード」という象徴もとてもセンスよく書かれ、作者の可能性を感じました。
 ただ、読みながら語り手の人物を混同してしまったり、わかりにくかったりする部分があること、登場人物それぞれの個性をもう少し豊かに表現してもよかった、などの課題もあるように思います。
  • (選考委員一同)
「イカロスのプロペラ」楠育雄さん

あらすじ

 棒高跳びの選手として活躍していた斑鳩露花。練習中の事故で半身不随となり、車椅子生活を送る中学二年生だ。そんな露花にドローン部への入部をすすめたのは、クラスメイトの代田鹿太。最初乗り気でなかった露花だが、やがてドローンの魅力と代田の優しさにひかれていくのだった。女子の制服を着た男子生徒の蟻戸有亜も入部し、正式に部として発足。ドローンレースの大会に出場するが、惜しくも優勝を逃してしまう。「誰よりも高く飛びたい」と強く願う露花とドローン部の仲間が織りなす友情と恋の物語。

選評

 ハンディキャップを背負いながらもドローンレース出場により心の翼を得る主人公のありように、すがすがしい読後感を得ました。また、ドローンレース自体も具体的でかつ魅力的なものに描かれ、読者の興味をさそい、成功しているのではないかと感じました。
 ただ、ポンポンとテンポよく読める一方で、取り扱っているジェンダーの問題も内面に踏み込めていない、主人公があまりにポジティブでリアリティを感じられないなど課題も残ります。また、物語後半は、登場人物がドローンレースの物語を動かしているのではなく、ドローンレースの物語に登場人物が動かされているといった印象も受け、「軽薄な社会」に巻き込まれた子ども像を感じずにはいられなかったのが残念です。
  • (選考委員一同)

選考経過

応募総数193編。

1次選考の結果、以下の5編が2次選考に進みました。

タイトル名 著者名 2次選考通過
明日、あした、また明日 広山しず
巻き尺と三角スケール まえまさと
ややの一本! 剣道まっしぐら日和 八槻綾介
おじいちゃんの最高傑作を、ボクが 谷門展法
ジオードで輝く 植森まゆ
イカロスのプロペラ 楠育雄
紅と瑠璃色の音 絵毬ユウ

※応募受付順、敬称略

2次選考では、9名の編集者が7編の作品すべてを読んだ上で議論を戦わせ、5編を最終選考に進めることとなりました。
最終選考は、特別審査委員の宮川健郎先生及び弊社出版総局総局長、コンテンツプロデュースグループグループ長、読み物・絵本ユニット長ほか、計13名で行いました。

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