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【活用事例】NDCを手掛かりに、テーマに合った本をみつけるワークショップ!(大阪府/池田市立五月丘小学校・学校司書・福冨範子さん)



全国の学校や図書館で活用されている「ポプラディア」。取材や投稿で、さまざまな事例を紹介していきたいと思います。なかなか他地域の実践の情報を得る機会はないけれど、地域によって、学校によって、小さな工夫や大胆な仕掛けがいろいろあると思います。どんどん共有していけば、ここまでできるんだ、と感じるかもしれませんし、これならできる、と勇気づけられるかもしれません。学校図書館以外でも、管理職や教員、保護者の方々にも、こんなことをやっているんだ、と知ってもらうことにもつながります。活用事例の投稿コーナーもありますので、ぜひ、みなさんの事例もお知らせください!

第8回:NDCを手掛かりに、テーマに合った本をみつけるワークショップ!(大阪府/池田市立五月丘小学校・学校司書・福冨範子さん)

「ポプラディア第三版」に掲載されているすべての項目の解説文の末尾には、最多で3つのNDC(日本十進分類法)の分類記号をつけています 。この項目ごとのNDCから、学校図書館の蔵書に結び付けていく活用事例が届きました。NDCの付与は、「第三版」で力を入れたところのひとつ。このようなかたちで活用していただけた方にお会いしたく、追加で取材させていただきました。
※投稿をもとに、Hello!ポプラディア編集部で再構成しています。



福冨さん考案!こどもたちをわくわくさせる、ワークショップの導入(ロイロノートのスライド)


探したい本までたどり着くためには、その本のテーマがどこに分類されているのかを知る必要がありますが、これはこどもたちにとって、なかなか難易度が高いと思います。そこで、小学5年生の国語の教科書(光村図書)にある単元「図書館を使いこなそう」を参考にしながら、「ポプラディア第三版」に付与されている各項目のNDCを使ったワークショップ「図書館の達人になろう」を考えました。
授業概要
対象:小学5年生
授業:図書の時間
準備したもの:
■「ポプラディア第三版」2セット※所蔵している1セット+公共図書館から借りた1セット
■「図書館の達人になろう」ワークシート(福冨範子さんオリジナル)
 ※福冨範子さんオリジナル「図書館の達人になろう」ワークシート(サンプル)のダウンロードが可能です!
 ▶Sample「図書館の達人になろう」ワークシート1 ▶Sample「図書館の達人になろう」ワークシート2
■ロイロノート・スクール(クラウド型授業支援アプリ)

ステップ1 「ポプラディア第三版」と、ワークシートを配布する

まず、2人(もしくは3人)1組のチームを組んでもらい、各チームに「ポプラディア第三版」を2冊ずつ(同じ巻を)配りました。全員が自分で百科事典を引けるよう、なるべく、1人1冊ずつ行き渡ることが望ましいです。

次に各巻に応じた「図書館の達人になろう」のワークシートをロイロノート・スクール(以下、ロイロノート)で配布しました。このワークシートは自分で作ったもので、1枚目は調べてほしいテーマの下に、NDCの記号と分類を書くメモ欄を設けています。2枚目は、NDCをもとに見つけた本の結果をまとめる内容です。



「図書館の達人になろう」ワークシート1枚目。これは「ポプラディア第三版」9巻に対応したもの(福冨さんオリジナル)


「図書館の達人になろう」ワークシート2枚目(福冨さんオリジナル)


ワークシートはロイロノートの資料箱に格納し、こどもたちが各自取り出すかたちで配布


テーマを決める際、3つの点に注意しました。

(1)「ポプラディア第三版」に掲載されている項目とテーマが一致すること
  ※1巻~16巻、それぞれに対応したテーマを選ぶ
(2)2つ以上(できれば3つ)のNDCが載った項目であること
(3)小学5年生の授業内容に関連した、学習に役立つテーマであること


「好きなテーマで調べよう」とテーマ選びをこどもたちに委ねると、学校図書館の蔵書に関連本がない可能性があります。"本にたどり着いた"という成功体験は、このワークショップの最重要ポイントです!これは防がねばなりません。

また、1つのテーマで複数の棚から本を探し、分類を理解するというのも目的のひとつです。テーマを「ポプラディア第三版」で引いたとき、項目にNDCが1つしか付与されていないとなるとこの目的が達成できません。

これらの理由から、テーマは私が事前に用意しました。蔵書をにらみながら選んだ、各巻ごとのテーマ一覧は以下です。テーマ選びが一番大変でした!


1巻  「明石海峡大橋」について
2巻  世界のいろいろな「衣装」について
3巻  「大阪城」について
4巻  「環境問題」について
5巻  「郷土料理」について
6巻  日本の「固有種」について
7巻  「自転車」や「自転車競技」について
8巻  いろいろな家つまり「住居」について
9巻  「石油」について
10巻 「台風」について
11巻 「土」について調べたい
12巻 「忍者」について
13巻 「ピクトグラム」について
14巻 「防災」について
15巻 「メガネ」について調べたい
16巻 「琉球」について、歴史と文化を知りたい


ステップ2 テーマを「ポプラディア第三版」で引く

各自がワークシートに書かれたテーマを「ポプラディア第三版」で引いて、項目の解説を読む時間を取りました。「背」「つめ」「はしら」を使った 、これまでに習った百科事典の引き方の復習にもなります。

ステップ3 NDCの記号と分類を、ワークシートに書きうつす

ワークシートに、調べた項目に付与されているNDCの記号を書きうつしてもらいました。記号が書けたら、「ポプラディア第三版」の各巻末にある「日本十進分類法(NDC)一覧」の表を見ながら、その記号がどの分類を指しているのかも一緒に書きうつすように声を掛けました。



(例)完成した1枚目のワークシート


「ポプラディア第三版」各巻末にある「日本十進分類法(NDC)一覧」


ステップ4 NDCを手掛かりに、棚へ行って本を探す

本を探す時間です。こどもたちはワークシートに書きうつしたNDCを参考にして、実際に図書館の棚へ行ってテーマに沿った本を探しました 。目標は、2つ以上の分類から一冊ずつ探すこと!(ただし、1冊でもたどり着くことができれば良しとする)



学校図書館で本を探すにあたり、福冨さんが提示した注意事項


ステップ5 ワークシート完成

2枚目のワークシートに、見つけ出した本の表紙を写真で撮って貼り付けて、本の背ラベルの分類記号を書きうつして、感想などの振り返りを書いたら、ロイロノートで提出!これでワークショップは終了です。



実際に提出されたワークシート。福冨さんがフィードバックを記入している


私の勤務する学校図書館には蔵書検索(OPAC)がないので、こどもたちは本を探すとき、やみくもに探したり、学校司書に本の場所を聞いたりしています。ワークショップを行ったクラスのこどもたちは分類が頭に入ってきたのか、探している本が置かれた棚まで、ある程度たどり着けるようになってきたように思います。

こどもたちにとって難しく思われることも多い図書館の分類ですが、2年生で「図書館たんけん」、3年生では「マイ図書館マップをつくろう」といったイベントを用意して、図書館の分類に触れる機会を作っているとのこと。5年生向けのこのワークショップでも、授業との関連や項目についているNDCの数をしっかり調べてテーマを選ぶという、参加するこどもたちへの配慮が行き届いた設計がすばらしいですよね。

宝探しのような、本探し。こうした体験を通していけば、図書館の分類も楽しく、身近に感じられます。1つのテーマでも、いろいろな分類で調べることができる。広い視野を持って、さらなる図書館の活用にも繋がりそうです。



これからも百科事典の意義や魅力を発信していきたいと思いますので、自治体や図書館、教育関係者の方々からもコメントや事例等をお知らせください。「総合百科事典ポプラディア」活用ナビ「Hello!ポプラディア」では、活用事例の投稿コーナーをご用意しています。みなさんの参加をお待ちしています。


★ 「Hello!ポプラディア活用事例」記事の一覧へ




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