【活用事例】探究の時間が2倍に、高等学校での百科事典の活用に積極的に取り組む（学校司書・伊達深雪さん）

全国の学校や図書館で活用されている「ポプラディア」。取材や投稿で、さまざまな事例を紹介していきたいと思います。なかなか他地域の実践の情報を得る機会はないけれど、地域によって、学校によって、小さな工夫や大胆な仕掛けがいろいろあると思います。どんどん共有していけば、ここまでできるんだ、と感じるかもしれませんし、これならできる、と勇気づけられるかもしれません。学校図書館以外でも、管理職や教員、保護者の方々にも、こんなことをやっているんだ、と知ってもらうことにもつながります。「Hello!ポプラディア」立ち上げに際して、まず、「図書館マルシェ」や『百科事典活用事例集』に登場していただいた学校司書・司書教諭の方に、取材をさせていただきました。是非みなさんの事例もお知らせください！

第2回：伊達深雪さん（京都府立丹後緑風高等学校久美浜学舎／京都府立久美浜高校・学校司書） /
聞き手・構成＝齋木小太郎（ポプラ社）

写真提供：京都府立丹後緑風高等学校久美浜学舎／京都府立久美浜高校

高等学校での百科事典の活用に積極的に取り組んでいる伊達深雪さん。『百科事典活用事例集』でも取材させていただき、「図書館マルシェ」でも高校での探究活動でお話しいただきました。勤めている京都府立久美浜高等学校の学校図書館は2019年に Library of the Year 優秀賞を受賞しています。

その久美浜高等学校は網野高等学校と統合して京都府立丹後緑風高等学校となり、同校の久美浜学舎となる。『百科事典活用事例集』取材の翌年から探究に力を入れた「みらいクリエイト科」が生徒募集を開始しました。

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みらいクリエイト科では、探究の時間を普通科の2倍とってます。入学前の体験セミナーでは、百科事典を使って基本的な言葉を調べるというプログラムを入れています。「ひらけ！知のトビラ」のスライドを入れ替えて、ツメやハシラなどの構造の説明は飛ばして、調べ方や引き方を教えて、3分で調べるタイムアタックみたいな感じで。
　今年はより地域探究的なところに力を入れるようになったので、｢ポプラディアプラス」シリーズの『世界の国々』『日本の地理』を使って、もしこの国や地域に転勤したとしたら？という問いを投げかけるワークショップをやりました。そこで分からない言葉があったら「ポプラディア」へ。特産品はパイナップルと書いてある、そこでパイナップルって柑橘類？って言いだす子がいたので、柑橘類じゃないと思うんだけど柑橘類ってどういうものだっけ、と先生が誘導してさらに調べていく。セミナーでは多くの教員がサポートで参加して、ほぼマンツーマンで声かけできて、先生もそういうふうに誘導してくれるのでとても助かっています。

写真提供：京都府立丹後緑風高等学校久美浜学舎／京都府立久美浜高校

では、入学後はどのような活動をしているのか。

探究学習の最初に、調べる基本として、2コマ使って百科事典のことを説明しています。すんなりできる子とできない子は、学校によって差があるという印象です。引けない子はほんとに引けなくて、あいうえお順が頭に入っていない子もいます。ちょっとひねった問題、たとえば「三好市は何県にある？」のような同じ読みで違う自治体があるような問題でもひっかかる。引いて見つけたじゃなくて、ちゃんと読む必要があるよ、と説明したり。
　ネットとの違いは重要になってきているので、さっきの「三好市」の問題から、「みよしし」という音しか知らないときにネットで調べたらどうなるかな、音だけではうまく検索できないよね、というような話につなげたりしています。入学してくる生徒のなかには、自分の学びができる、という意識を持っている子もいるので、しっかり支えていきたいと思っています。

『百科事典活用事例集』

これからも百科事典の意義や魅力を発信していきたいと思いますので、自治体や図書館、教育関係者の方々からもコメントや事例等をお知らせください。「総合百科事典ポプラディア」活用ナビ「Hello!ポプラディア」では、活用事例の投稿コーナーをご用意しています。皆様の参加をお待ちしています。

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