2019年4月、今年もポプラ社の「学習に役立つ本」の新刊がそろいました。今回は、バリアフリーを実現する仕組みや用具を紹介するシリーズ
「調べよう! バリアフリーと福祉用具」(全5巻)を、編集担当者の視点からご紹介します。
「調べよう! バリアフリーと福祉用具」(全5巻)
福祉の現場で使われているさまざまな福祉用具や、体の不自由な人の大切なパートナーである補助犬などを紹介するシリーズです。写真と解説、実際に使用している人へのインタビューで、それぞれの道具の工夫やすぐれた点がわかります。
- 編集U
- 「調べよう! バリアフリーと福祉用具」(全5巻)編集担当。「学習・知識物書籍編集の醍醐味、『えっ、そうだったんだ! すっごーい!!!』がめいっぱい味わえる編集作業でした♪」
――アイデア雑貨のカタログを見るような楽しさがありますね。
編集U 用具や仕組みひとつひとつに、工夫と新しい発想があるんですよね。たとえば、3巻で取りあげた「歩導くん ガイドウェイ」です。持ち運んでどこにでも設置できる、点字ブロック代わりの樹脂マットです。
ブラインドテニスというパラスポーツ競技の大会運営をされているかたにお話を伺ったんですが、試合ではボールの鳴る音を頼りに球を打ち合うので、会場に音声の放送がかけられないんですね。ですから、(目の不自由な)選手がコートを移動したりトイレに行ったりしたくても、限られた人数のガイドの人を呼びだすのもたいへんで、進行に時間がかかってしまうんです。
▲『点字・盲導犬 ほか 「見る」をたすける』20~21ページ
編集U その点この「ガイドウェイ」は持ち運びできるので、その日しか使わない会場にその日のための誘導マットが設置できます。一度トイレの場所や試合の場所などを案内しておけば、ガイドがつきそわなくても、マットに従って自分で動けるんです。床の色に対して目立つように、色も自由に選べます。
――用具が実際に役立っているようすがわかるとうれしくなりますね。
編集U 車いすも複数の種類を紹介していますが、ユーザーのかたがこんなこともできるようになった、あそこにも行けた、と本当に楽しそうに「わたしの車いす、かっこいいでしょう!」と話してくださるのが印象的でした。車いすなどの用具を使うことで世界が広がるという実感を伝えられたかなと思います。
▲『車いす・介助犬 ほか 「動く」をたすける(1)』20~21ページ
――5巻『まちのバリアフリー』を読んで、バリアフリー設計がなされている施設は、誰にとっても使いやすい施設なんじゃないかと思いました。
編集U 5巻
『まちのバリアフリー』はシリーズのまとめにあたる巻です。この巻を読んでいただくことで、シリーズで紹介してきた用具や仕組みが組み合わさって、わたしたちみんなの生活にどう生かされているかがわかると思います。監修の渡辺崇史先生(日本福祉大学教授)にいただいた「はじめに」と「この本を読んでくれたみなさんへ」のメッセージもすばらしいので、あわせて読んでほしいです。
▲『まちのバリアフリー』30~31ページ