子どもたちに大人気の、ポプラ社の「大迷路」シリーズ。今年4月には、14冊目となる『冒険！発見！大迷路 魔法使いと魔人のランプ』も発売されました。このシリーズ、表紙を見ただけだと「よくある迷路絵本でしょ？」と思われるかもしれませんが、実はビジュアルにものすごいこだわりを持って作られています。なんと、見せ場となる迷路やさがし絵1つ1つを描くのに、立派な模型が存在するんです！　そこで今回、実際に迷路が完成するまでの過程を追ってみたいと思います。


■まずは、ストーリー全体の構成ラフを作り、それを迷路にしていきます。




■構成ラフを設計図にして、立体模型を作ります。




■立体を見ながら下絵を作り、背景班とキャラクター班がそれぞれ絵を作っていきます。




■最後に背景とキャラクターを合体し、効果を加えてようやく完成です！




また、迷路だけでなく、背景や主人公の車など、構造やバランスを正しくチェックするために、様々なものが模型化されます。





ここまでしているなんて、驚きですよね……！　このように、本シリーズは“大人の本気”が詰め込まれているんです。

もちろん、こだわりはこれだけではありません。本書を製作している会社「バースデイ」は、元々おもちゃやゲームの企画を行なっている会社。そんなプロ集団が、「ゲームより子どもたちを釘付けにできる本を作ろう」と、至るところに仕掛けを施して作っています。
例えば、奥付のうしろについている「さがし絵カード」や綴じ込み特典、本の中に登場する言語「スコルピオン語」の解読の書、穴あき迷路に長―い迷路など、本当に、一冊丸ごと遊び尽くせる本に仕上がっています。





この他にも、もちろんキャラクターや絵の楽しさにもこだわっています。「5センチ四方のなかに、登場人物のストーリーを入れるように絵作りをしている」そうで、ぱっと見て、キャラクターたちの小さな物語にクスッと笑えるのも、魅力の1つ。




せっかく買った本は、子どもに長く遊んでほしいですよね。このように、「もっと面白くしよう」「もっと楽しんでほしい」と、常に新しさを取り入れ、子どもたちの心を掴んできたのが、この「大迷路」シリーズです。子ども向けだからって、手は抜かない。むしろ、多感な子どもが遊ぶものだからこそ、こだわり尽くした本物を作りたい。そんな思いがひしひしと伝わってきます。この「大迷路」シリーズを書店で見かけたら、ぜひ実際にページを開いて、そのこだわりを見てみてください。

文＝月乃雫