回転寿司屋さんに家族でいった。息子が食べるのはいつも甘エビと玉子といくらだ。妻はとびこをよく食べる。とびこだけで3皿ぐらい注文するので妻の前世はトビウオなんじゃないかと疑っている。
ぼくは瓶のウーロン茶を注文した、まずは飲み物だ。粉末緑茶と熱湯の組み合わせは、ぼくの口にあわない。味の問題じゃなく温度が問題だ、ぼくは猫舌なのだ。
息子も瓶ウーロン茶をのみたいといいだしたので、2本オーダーした。従業員さんが栓のあいた瓶ウーロン茶と、氷のはいったグラスを2セットもってきてくれた。プラスチックではない大人用のグラスを持ってきてくれたことに息子はよろこんでいた。
キンキンに冷えているのだろう、瓶の表面に水滴がついてシズル感たっぷりだ。ぼくは瓶コーラや瓶ビールや瓶コーヒー牛乳が好きだ、缶よりもペットボトルよりも紙パックよりも瓶が好きだ。なにより猫舌にやさしい。
グラスをつかわずに瓶から直接ゴクッとのむ。瓶は瓶でのむからいいのだ。それをみた息子もグラスをつかわずにゴクッとのんだ。
息子はまんぞくそうだ、大人とおなじことができたのだ。息子のちいさな成長の瞬間であり、親のたのしさの瞬間でもある。ただ、ぼくは不満だった。ウーロン茶がぬるかったからだ。
ぬるかったというより常温なんだけど、瓶がキンキンに冷えてるのに中身のウーロン茶が常温っておかしい。
一瞬で悟ったけど、冷やした空き瓶にペットボトルウーロン茶をうつして提供してるやがる。猫舌を舐めやがって、猫舌は冷たさには強いんだ。
瓶はリターナブルで再利用されることが前提だけど、それは製造業がやることで飲食業がやることじゃない。
ユーチューバーみたいにウーロン茶を50本注文して、ワインやシャンパンのようにあいた栓を記念にくださいなんてことを要求して追及する気もない。
インドを一人旅しているときにペットボトルの水をのもうとしたら、キャップに違和感があった。よくみるとキャップに接着剤がついていた。空きペットボトルに水道水をつめたのだろう。暑いインドでのむ冷えた瓶コーラは安全で、とても美味しかった。
いろんなことが頭にうかんだ。でもとなりには満足そうな息子がいる。ポーカーフェイスで思考をめぐらせる。息子の目にぼくはどうつってるのだろうか?
瓶ウーロン茶をのんで渋い顔をしているように見えるのだろうか?違うんだ、お父さんはちょっとムカついているんだ。
ぼくだって大人だ。大人の事情は知っているつもりだ。100円2ℓペットボトルウーロン茶を空き瓶につめたほうが利益はでる。
ただせめてバレないようにペットボトルウーロン茶を空き瓶と一緒に冷やしてくれ。ぼったくりだとか食品偽装だなんてことはいわない。
でもこのご時世でずいぶんリスクが高い利益のとりかたをしている。回転寿司の瓶ウーロン茶の売り上げなんてたかがしれてる。
これが炎上して株価が下がったらとんでもない損失だ。とてもハイリスクでローリターンな気がする。というかぼくはこの情報をもとに炎上を誘引して、株で儲けることもできるじゃないか。上場してるのか知らんけど。
いろんなことが頭をめぐったけど、ぬるいウーロン茶と一緒にポーカーフェイスでゴクッとのみこんだ、美味しくない。ぼくにとってもちいさな成長の瞬間だったのかもしれない。