夢をかなえる魔法は、いつもあなたの中にある
~『マララのまほうのえんぴつ』刊行に寄せて~
<メッセージ動画の概要>
私の本、「マララのまほうのえんぴつ」は、魔法を信じ、魔法は自分の中にあると私が気づくまでの物語です。私が子どもの頃みていたテレビアニメでは、魔法のえんぴつで、こまっている人たちを助けて活躍する、小さな男の子がいました。私は、毎晩寝る前に、「魔法のえんぴつをわたしにもください」と祈りました。しかし、朝になって引き出しをあけても、魔法のえんぴつなどありませんでした。
願っているだけではダメだ、誰かが声をあげなくてはいけないと考え、私が声をあげることにしました。
~「ひとりの こども、 ひとりの せんせい、いっさつの ほん、 いっぽんの ペン、それらで せかいを かえることは できるのです」~
私が自分の物語を伝えるのは、もっと多くの人に知ってもらいたいと思うからです。私の人生には、銃で撃たれるなど、たくさんの辛い出来事が起こりましたが、自分よりも若い人たちに、わかりやすく伝えていくには、絵本が一番適切だと考えました。どのページも気に入っています。弟たちと一緒に、ひび割れた壁のある部屋で一緒にテレビを見る場面、私が発信したメッセージが世界中に広がっていく場面、銃撃事件から私が回復していく場面をはじめ、アーティストの方は素晴らしい絵で表現してくれました。自分の人生をこのように美しく表現してもらえるとは思っていなかったため、感謝しています。
この絵本がひとりでも多くの子どもたちに読まれることを願っています。この絵本を手にした子どもが、魔法は自分たちの言葉や文章、絵のなかにあると気づいてくれたら嬉しいです。世界各国でこの絵本を出版して頂き、光栄に思います。
私の物語を読んでくださる日本の皆様、どうもありがとうございます。
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- 発売日:2017年12月
- ISBN:978-4-591-15643-8
- 本体価格:1,500円
- パキスタンの小さな村にくらすごくふつうの女の子、マララ。”魔法のえんぴつ”を夢見る彼女が自分の言葉と行動で世界を変えた、真実の物語。
▲安田 菜津紀
1987年神奈川県生まれ。上智大学卒。2012年、第8回名取洋之助写真賞受賞。写真絵本に『それでも、海へ 陸前高田に生きる』(ポプラ社)、著書に『君とまた、あの場所へ シリア難民の明日』(新潮社)などがある。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。
▲根本 かおる
東京大学法学部卒。テレビ朝日を経て、米国コロンビア大学大学院より国際関係論修士号を取得。フリージャーナリストを経て2013年8月に国連広報センター所長に就任。著書に『ブータン—「幸福な国」の不都合な真実』(河出書房新社)、『難民鎖国ニッポンのゆくえ 日本で生きる難民と支える人々の姿を追って』(ポプラ社)他。
作:マララ・ユスフザイ
教育・人権活動家。国連ピースメッセンジャー。
パキスタン北部の山岳地帯スワート渓谷に生まれる。11歳のとき、イギリスBBC放送のウルドゥー語ブログに、グル・マカイ(矢車菊)というペンネームを用いて、タリバン政権下での生活をつづった日記を投稿した。女の子の学ぶ権利を訴えるこのブログが人々の共感を呼び、注目を集める。
2012年10月、スクールバスでの下校途中にタリバンから銃撃を受けたが、奇跡的に一命をとりとめ、その後も教育のための活動を続ける。その勇気と主張が評価され、第一回パキスタン国民平和賞、国際子ども平和賞、アムネスティ・インターナショナル「良心の大使賞」を受賞。そして2014年には、17歳にして史上最年少となるノーベル平和賞を受賞した。
NPO組織「マララ基金」では、だれでも等しく教育を受けられるよう、さまざまな教育団体をサポートしている。
絵:キャラスクエット
夫セバスチャンと妻マリーによるイラストレーターユニット。パリ在住。マンガやイラストレーションの分野において国内外で活躍中。
訳:木坂 涼
詩人、児童文学作家、翻訳家。詩集、エッセイ集のほか、絵本の創作や翻訳も多数手がけている。主な訳書に『ちょっとだけまいご』『しーっ!』(ともにBL出版)、『どこにいるかわかるかな?』『そっくりさん どこにいるかわかるかな?』(ともにポプラ社)などがある。