全国の学校や図書館で活用されている「ポプラディア」。取材や投稿で、さまざまな事例を紹介していきたいと思います。なかなか他地域の実践の情報を得る機会はないけれど、地域によって、学校によって、小さな工夫や大胆な仕掛けがいろいろあると思います。どんどん共有していけば、ここまでできるんだ、と感じるかもしれませんし、これならできる、と勇気づけられるかもしれません。学校図書館以外でも、管理職や教員、保護者の方々にも、こんなことをやっているんだ、と知ってもらうことにもつながります。活用事例の投稿コーナーもありますので、ぜひ、みなさんの事例もお知らせください!
第10回:「子ども司書養成講座」の最終課題に「ポプラディア第三版」をつかった調べもの(青森県/五所川原市立図書館・司書・下栃棚歩さん)
※投稿をもとに、Hello!ポプラディア編集部で再構成しています。
写真提供:すべて五所川原市立図書館
読書の魅力を広めるリーダーとして活躍を期待される「子ども司書」※。その養成の取り組みは全国に広がっていますが、今年の夏、青森県の五所川原市立図書館で行われた「第7期 五所川原市子ども司書養成講座」の最終課題に、「ポプラディア第三版」をつかった調べものを採用したと投稿をいただきました。
※2009年、福島県矢祭町の「もったいない図書館」で誕生した「子ども司書」の取り組み。地域や学校で読書のおもしろさを伝え、読書推進のリーダーとなるこどもを養成することを目的に、全国各地の自治体や図書館で講座が開かれ、毎年「子ども司書」が認定されている。
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五所川原市立図書館の児童室
2022年7月23日から31日、五所川原市立図書館では「第7期 五所川原市子ども司書養成講座」を実施しました。「レファレンスサービス」を学ぶ一環で「ポプラディア第三版」のつかい方の講義を取り入れて、講座の最終課題に「ポプラディア第三版」をつかって調べ、まとめる課題を課しました。
今回参加してくれたのは、市内の小学校に通う8名(4年生2名、5年生1名、6年生5名)。本好きのこどもたちが参加してくれたようです。
「五所川原市子ども司書養成講座」は2016年度から続いていますが、「ポプラディア」をつかった講義や課題は今回が初めてです。調べもののお手伝いとして「レファレンスサービス」について教える講義はこれまでにもあり、図書館が用意した本や新聞をつかって「自分の生まれた日」について調べたり、津軽弁について調べたりしていました(「調べる」基本は学校で習っている前提)。しかし1回の講義で教えられることは限られていて、できる・できないに個人差がある、郷土について調べられるこども向けの資料が少ないなど、改善点を感じていました。
「ポプラディア第三版」の講義を聴くこどもたち
●こどもたちの調べる基本はやっぱり「ポプラディア」だと考えている
●これまでの参加者をみていると、学校の授業だけで「ポプラディア」をつかえるようになっている子は少ないように思う
上記の理由と、2021年に「ポプラディア」の改訂があり、図書館用・学校貸出用として「ポプラディア第三版」を複数セット購入することができたことをきっかけに、「ポプラディア第三版」を「子ども司書養成講座」に取り入れようと決めました。
これまでは最終課題に講義内容の復習テストや感想文、本の紹介文などを課していましたが、せっかく学ぶのであれば聞くだけでなく実際に自分で取り組んだ成果を発表してもらいたいという気持ちから、今回は「ポプラディア第三版」をつかった調べものを採用しました。
「ポプラディア第三版」をつかった最終課題
最終課題の問題シート(下栃棚さんオリジナル)
キーワード
「ねぶた」「ジンベイザメ」「土偶」「カレー」「山の日」「戦争」「キュウリ」「ウイルス」
最終課題は、くじで引いたキーワードを「ポプラディア第三版」、図書館の本、インターネット、それぞれで調べてまとめる活動です。キーワードは司書が「ポプラディア第三版」に載っている項目か、図書館に関連資料があるかどうかを確認しながら選びました。
見本(今回は「シジミ」について調べたもの)を配布する、図書館の本をうまく見つけられず困ったこどもの相談にのるなどの支援は行いましたが、こどもたちはそれぞれをうまくつかい、課題を完成させていました。
「ポプラディア」には書かれていなかったことを図書館の本で確認したり、関連する内容を調べたり、インターネット(インターネットでの調査は任意)で本には書かれていない最新の情報を調べている子もいました。
実際提出された最終課題。課題の提示から提出期限は、1日半の期間を設けたそう
「ポプラディア第三版」をつかったこどもたちの感想(一部抜粋)
・インターネットではのっていないことがかいてあると知りました
・しらべたいと思ったら開きたい
・学校でもつかって調べたい
・改訂前と後のちがいがわかった
こどもたちは講座期間の6日間でレファレンスサービスのほか、図書館や本のこと、NDC、本の修理、カウンター業務、読み聞かせの方法などを学び、受講者全8名が無事、「五所川原子ども司書」として認定されました!
こどもたちに図書館をつかい倒せるようになってもらうため、今後も講座内容のアップデートをはかっていきたいです。
「ポプラディア第三版」に掲載されたNDCをうまくつかって、図書館内の関連資料へこどもたちを誘導しているワークシートが印象的でした。百科事典を手掛かりに、より広く深い情報へ。司書のレファレンス業務に必要なスキルであり、こどもたちのこれからの学びに必要なスキルですよね!
これからも百科事典の意義や魅力を発信していきたいと思いますので、自治体や図書館、教育関係者の方々からもコメントや事例等をお知らせください。「総合百科事典ポプラディア」活用ナビ「Hello!ポプラディア」では、活用事例の投稿コーナーをご用意しています。みなさんの参加をお待ちしています。
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