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道徳が教科化するいま、個性について考える(2) 田沼茂紀先生インタビュー「友だちとは異なる、自分自身の個性を大切に」

2020年度から、小学校で正式な科目として授業が始まる道徳。新たな学習内容として、自分の個性を理解して伸ばしていく「個性の伸長」が加わります。道徳の教科化と「個性」について考える記事を、2回にわたってお送りします。今回の第2回は、道徳教育研究の第一人者であり、各界で活躍する50人が個性を語るシリーズ『個性ハッケン!』を監修いただいた田沼茂紀先生にお話を伺いました。

『個性ハッケン! 50人が語る長所・短所』(全5巻)
▲『個性ハッケン! 50人が語る長所・短所』(全5巻)

道徳科の授業は、よりよい人生を生きるための時間。

――まずは先生のご専門である道徳教育について教えてください。平成30年度から小学校で、平成31年度からは中学校でも道徳科の授業が完全実施されますが、どのような背景があるのですか?
田沼 戦前は「修身科」という教科で道徳教育が行われていましたが、1945年(昭和20年)にそれが廃止され、戦後しばらくは道徳教育の空白期間となりました。1958年(昭和33年)の学習指導要領改訂で、週1時間の「道徳の時間」が始まったものの、教科書もなければ成績もつかない、また受験にも関係ないため浸透しませんでした。
そうした状況が長く続きましたが、2011年(平成23年)に起きた「大津いじめ自殺事件」などをきっかけに、道徳教育の必要性を求める声が高まっていったのです。その結果、2015年(平成27年)の学習指導要領一部改正により、道徳が教科化されることとなりました。

――道徳科の授業で、子どもたちは何を学ぶのですか?
田沼 道徳科の授業とは、自分とは違う多様な価値観に触れ、よりよい人生を生きるための糧とする時間です。価値観は、みんな違って、みんないい。ただし「望ましさ」は共有しないといけないんですね。誰も一人では生きておらず、他者と寄り添いながら生きていくものですから。
「国家に従順な人間を作るための教育では?」と誤解する人もいるようですが、そうではありません。これからのグローバル社会で、主体性を持ち、他者と協同しながら生きていく力を養うための授業なのです。



――道徳が教科化されたことで、教育現場からはどのような声が聞こえてきますか?
田沼 子どもたち一人ひとりを評価しなければならないことに、導入前は先生方から不安の声が上がっていました。保護者の中にも勘違いされている方がいらっしゃるようですが、道徳科の評価は子どもたちをランク付けするものではありません。授業を通じて、子どもたちがどのような学びを行ったのかを具体的な言葉で肯定的に個人内評価するのです。子どもたちの良い部分を見つけて、伸ばすことが目的なのです。決して個人の道徳性を評価するものではない。そもそも個人の道徳性を評価できるのは、その人自身だけですから。

――道徳科であつかう内容として、「親切、思いやり」「友情、信頼」「生命の尊さ」など22の項目が学習指導要領に挙げられています。その中の一つ「個性の伸長」について教えてください。そもそも個性とは何でしょう?
田沼 個性とは、その人のありのままの姿です。「活発」「社交的」といった長所とされるもの、「めんどうくさがり」「こらえ性がない」といった短所とされるもの、いずれも個性です。道徳科の授業では、自分の個性からよい点を見つけて育んでいくことの大切さを学びます。

――成長過程にある子どもたちは、まだ自分の長所・短所をつかめていないかもしれませんね。
田沼 そうですね。成長するにつれ、個性も変わっていくかもしれない。その時々の自分をとらえて、自分らしくあるためにはどうすればよいのか? それを問うことが、個性を発見するということです。友だちと比べて自分の個性に劣等感を持つ子には、「その個性を劣っていると決めつけているのはあなた自身なんだよ」と伝えたい。
個性は、自分自身でいくらでも価値づけられるものです。だから友だちとは異なる個性を大切にしてほしいですね。実は、私自身も思春期・青年期は劣等感のかたまりでした。自分の個性を認めてやれるようになったのは、つい最近なんですよ(笑)。



見方を変えれば、短所も長所になる。

――『個性ハッケン! 50人が語る長所・短所』シリーズを監修されるにあたって、どのような方針を持たれていましたか?
田沼 最初に二つの方針を決めました。一つは、大人の考えを一方的に押しつけず、読者である子どもたちに選択肢が残るような内容とすること。二つめは、多様なものの見方、考え方ができるような内容とすること。この方針に沿った内容になっているかを、全ページにわたって原稿を読み込み、要所で編集部にアドバイスを行いました。

――さまざまな仕事に就く、50人の方々がインタビュー形式で登場しています。皆さんのお話から感じられたことはありますか?
田沼 監修をしながら、私自身とてもおもしろく読めました。どの人の、どの生き方をみても、つまらない生き方は一つとしてありません。そういう意味では、誰の人生もおもしろくなるはずだと思っています。

『個性ハッケン! 50人が語る長所・短所』より
▲『個性ハッケン! 50人が語る長所・短所』より

――各巻のテーマが「スポーツで輝く」「未来をつくる」「人を楽しませる」「伝統に生きる」「いのちを守る」と分かれており、子どもたちが手に取りやすいですね。
田沼 結果的に職業図鑑のようにもなっていますが、あくまでもその人らしい個性を紹介する本です。子どもたちが、自分の個性を発見するきっかけとなればいいですね。自分があたりまえに思っていたことがそうではないと知ったり、思いもつかない考えを持っている人がいることに気づいたりもできる。道徳科の教材としても活用してもらえたらと考えています。

『個性ハッケン! 50人が語る長所・短所』より
▲『個性ハッケン! 50人が語る長所・短所』より

――とくに、どういった子どもに読んでほしいとお考えですか?
田沼 あえて挙げるなら、劣等感を抱きながらも精一杯に生きている子どもたちでしょうか。自分に自信が持てない子を、この本で勇気づけることができたらうれしいですね。「この本に出てくるのは才能があって恵まれている人たちばかりじゃないか」。そんなふうに思っている人にこそ読んでほしい。この本に書かれているのは成功体験ばかりではありません。多くの方が、挫折や失敗について正直に語っています。器用に生きている人は誰もいない。皆さんのお話から、「見方を変えれば、短所も長所になる」ということに気がついてほしいですね。

――家庭でも読んでほしいですね。
田沼 小学校高学年になると、親子で一緒に本を読む家庭はあまりないでしょう。でも、別々になら読むことができる。そうすれば共通の話題が増えるので、親子の会話のきっかけ作りになるのではないでしょうか。大人が読んでも興味深いインタビューが満載ですから、ぜひおすすめしたいです。

――子育て世代の親に向けて、子どもの個性の伸ばし方についてアドバイスをいただけますか?
田沼 まずは、目の前の子どもを見守ってやるしかないと思います。子どもは親の思うとおりに育ってくれませんから。ただ一つ言えるのは、親としての個性を発揮することでしょうね。子どもに、自分の生き様をきちんと示すこと。自分をさらけだすことはとても大事です。なんといっても、子は親のかがみですから。

★道徳が教科化するいま、個性について考える 第1回はこちら>>>

プロフィール

田沼 茂紀 (たぬま しげき)
新潟県生まれ。國學院大學人間開発学部長。上越教育大学大学院学校教育研究科修了。川崎市公立学校教諭を経て高知大学教育学部助教授、同学部教授。2009年4月より國學院大學人間開発学部初等教育学科教授。日本道徳教育学会理事。日本道徳教育方法学会理事。専門分野は、道徳教育、教育カリキュラム論。

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