2020年度から小学校で、正式な科目として授業が始まる道徳。新たな学習内容として、自分の個性を理解して伸ばしていく「個性の伸長」が加わります。道徳の教科化と「個性」について考える記事を、2回にわたってお送りします。第1回となる今回は、子どもたちが自分の個性をつかむヒントになる本をご紹介します。
▲『個性ハッケン! 50人が語る長所・短所』(全5巻)
自分の得意なことや苦手なこと、考え方のくせ……自分の個性をまっすぐみつめるのはなかなかむずかしいことです。では、道徳の授業を通して子どもたちが自分たちの個性を考えるとき、どのようなヒントがあるとよいのでしょうか?
そこでご紹介したいのが、スポーツ選手やタレント、科学者や医師など、さまざまな世界で活躍している人生の先輩たちが登場するシリーズ『個性ハッケン! 50人が語る長所・短所』です。50人の各界の著名人が、自分自身の長所と短所を見つめ、子どもたちへ伝えたいことをたっぷりと語っています。世の中には多様なものの見方、感じ方、考え方があることに気づいたり、子どもたち自身が自分の個性を見つけるきっかけとなったりすることでしょう。
各界で活躍するすごい人たちが50人も登場!
スキージャンプ選手の高梨沙羅さん、『ちはやふる』を描くマンガ家の末次由紀さん、囲碁棋士の井山裕太さん……。各界で活躍する50人が登場し、自らの長所と短所を語ります。これまでどのように生きてきたのか、どうしていまの仕事に就いたのか、自分自身の長所と短所をどのように感じているのか。興味深いエピソードが満載です。
▲囲碁棋士の井山裕太さん
▲きびしい勝負の世界で、自分の長所・短所と向きあう心構えを語ってくれました
好奇心に応じて手に取りやすいテーマ別編集!
インタビューに応じていただいた50人のお仕事を、ジャンルごとに整理し、全5巻に分けて構成しました。子どもたちが自らの好奇心に応じて、好きな1冊を手に取れるようにとの工夫です。ちなみに職業は一つとして同じものはありません。「世の中にはいろいろな仕事があるんだ!」と、将来の夢を探せる職業図鑑として読むこともできます。
▲人物・職業早見表
心に響く名言がいっぱい!
山あり、谷ありの人生を送ってきた先輩たちのお話だからこそ、心に響く名言をいたるところに見つけることができます。この本は、道徳科や国語科の教材として活用したり、子どもたちが「心に響く言葉」を探してみたりするのにも使えます。
▲成功は自信をくれて、失敗は課題をくれる。(体操選手/田中佑典さん)
▲みんなと同じことをするのがチームワークではない。(ロケット開発者/南海音子さん)
▲人とくらべることをやめたら、自分の個性に気がつけた。(ダンサー/大前光市さん)
▲苦手なことは助け合えばいい。(花道家/大久保有加さん)
▲短所が多いほうが、人間としては魅力的。(獣医師/徳田竜之介さん)
「性格や特徴を表す言葉」の一覧ページつき!
「あなたの個性を言葉にすると?」。いきなりそう聞かれても、大人ですら決まり切った表現しか出てこないのではないでしょうか。各巻の巻末には「性格や特徴を表す言葉・表現」のリストを掲載。その数、なんと1144! 子どもたちが、自分の長所・短所に気がつくきっかけとなればうれしいです。なお、リストのページは自由にコピーして配布できます。
▲「性格や特徴を表す言葉・表現」のページ
道徳を通して、自分の個性について考えるヒントが見つかったでしょうか。次回は、國學院大學人間開発学部長で、道徳教育研究の第一人者である田沼茂紀先生に、道徳の教科化と個性について伺ったインタビューをお届けします。
★道徳が教科化するいま、個性について考える 第2回はこちら>>>
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