『ガザ 戦争しか知らないこどもたち』より 瓦礫の壁が続く風景
この
『ガザ 戦争しか知らないこどもたち』を出版して4年。いま、ガザでは、アメリカのイスラエル大使館のエルサレム移転をきっかけに、抗議のマーチ(行進)が行われています。マーチに参加した市民とイスラエル軍との衝突も報道されました。
ガザの子どもたちは、毎年、3月11日に、東日本大震災の被害にあった子どもたちのために、凧揚げをします。
この本を通して、もう一度ガザの人々と出会っていただけることを願っています。
この本の著者、清田明宏さんからメッセージをいただきました。
あの戦争から4年、戦争を知らない子どもたちは 4つ年をとりました。結婚した子もいれば、高校に進学した子も。どこにでもある普通の成長です。でも、戦争の傷は深いままです。ガザの経済・社会は崩壊したまま、子どもたちの将来はまったく不明です。今回のガザの国境沿いのマーチには多くの若者・子どもたちが参加しました。戦争しか知らない子どもたち世代。彼らの願いはただ一つ。人間としての尊厳を取りもどしたい。それだけです。彼らが戦争を知らない大人になれるよう、我々の努力はつづきます。平和の大事さを大きく感じます。その願いをガザより送ります。
2018年5月21日 ガザにて 清田明宏(せいた・あきひろ)
『ガザ 戦争しか知らないこどもたち』清田明宏・著 2015年5月発行 定価:1,500円(税別)AB判 64ページ
悲惨な戦禍のなか、「普通の暮らし」を求めるガザのひとびと。
ガザでは、戦争の影響を受けていない人は一人もいない。
絶望的な状況のなか、彼らは言い切る。
――――それでも、わたしは、ガザを再建する――――
2014年7月から始まった、イスラエルによるガザ侵攻。この本は、その戦争中の8月6日から8日までと8月11日、そして、停戦後の9月9日から11日までガザに入った著者が「戦争しか知らないこどもたち」を、自らのiPhoneで撮影し、レポートした。
普通の暮らしを求める一般市民への共感に満ちた著者のまなざしが、悲惨な戦禍にあっても希望を失わず、子どもたちのために、平和へと歩みだそうとするガザの人びとを、力強く描き出す。
- 清田 明宏 (セイタ アキヒロ)
- 1961年福岡県生まれ。高知医科大学(現・高知大学医学部)卒業。結核予防会・結核研究所に当初勤務。国際協力機構(JICA)でイエメン結核対策プロジェクトに取り組む。そののち世界保健機関(WHO)に入り、中近東の結核対策、三大感染症の責任者となる。2010年より国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の保健局長に就任。3,100人の保健医療スタッフをまとめる。2015年第18回秩父宮妃記念結核予防国際協力功労賞受賞。