夏になると毎年必ず、大きな鳴き声の大合唱を起こすセミ。そんなセミのように、私たちのそばでは、アリやチョウ、トンボなど、たくさんの昆虫たちが生活をしています。そして昔のフランスに、昆虫たちの特徴や生活を詳しく知りたいと、夢中になって研究を行った先生がいました。その名も“ファーブル先生”。彼が書いた『昆虫記』はその後世界中で大注目となりました。日本でもいろいろな訳が出ていますが、昆虫に興味を持ち始めたお子さんに、「どの本が一番わかりやすいかな…」とついつい悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
『ファーブル先生の昆虫教室』は奥本大三郎先生とやましたこうへい先生が手掛ける、朝日小学生新聞の連載に書き下ろしを加えた人気シリーズ
この 『昆虫記』に書かれた内容を優しい語り口調で教えてくれる『ファーブル先生の昆虫教室』は、朝日小学生新聞で連載中のコーナーをまとめた人気作。フランス文学者の奥本大三郎先生が、日本でもなじみ深い昆虫の話や最新の研究結果なども加えて、昆虫の生態を広い視点から面白くわかりやすく教えてくれます。また、1見開きに1節分の文章とイラストが掲載された構成は順序よく読み進められるので、読書が苦手な方も簡単に読み終えることが出来るんです!
1見開きには1節分の文章とイラストが掲載され、読書が苦手な方でも楽しく読み進めることが出来ちゃいます!
そして本書の魅力は、面白い内容だけではありません。やましたこうへい先生が描く昆虫たちは、手足の細い節や肉眼では見ることが難しい微細な毛を正確に再現しながらも、親しみやすい姿となって登場します。昆虫たちの説明だけでなく、ダジャレやファーブル先生のおちゃめな姿などが描かれたイラストは、誰もが夢中になれる楽しい要素があふれているので、ぜひ繰り返し読んでみてくださいね!
やましたこうへい先生が描くリアルかつ、親しみやすい昆虫たちは誰もが夢中になってしまいます
さらに6月に出版された『ファーブル先生の昆虫教室2 昆虫研究の楽しさ』では、連載時にとりあげられなかった内容も書き下ろしで初掲載! サソリの子育てや伝説にまつわる実験、ファーブル先生の生家を訪ねた「ファーブル先生の写真帳」など、ここでしか読めない内容を盛りだくさんで紹介しています。
『ファーブル先生の昆虫教室2 昆虫研究の楽しさ』では、新聞に掲載されなかった「サソリの子育て」などについても書き下ろしで紹介されています!
ファーブル先生の生家を訪ねた「ファーブル先生の写真帳」も、本書でしか見られない貴重なページです
『ファーブル先生の昆虫教室』は、新しく本書に出会う読者の方はもちろん、連載分の保存用としても多くの方から愛されているシリーズです。7/22には神保町・ブックハウスカフェでトーク&ワークショップイベントも開催。そのイベント「ファーブルに学ぶ虫の世界」では、奥本大三郎先生とやましたこうへい先生が読者の方と一緒になって、昆虫の生態を深く掘り下げてくださいました。
7/22には神保町・ブックハウスカフェにて、トーク&ワークショップ「ファーブルに学ぶ虫の世界」が開催されました
そして奥本先生は、「図鑑で見るだけでなく、実際に山や海へ行って遊びながら虫を取り、気配を感じることが一番大事です。例えばクヌギの林へ行くと樹木の匂いがするし、ここに虫がいそうだなって気配を感じ取ることが出来ます。その体験が積み重なって、経験になっていくんですよ」とも、お話してくださいました。ファーブル先生が優しく教えてくれるお話で昆虫たちのことを学んだら、次は実際に自分で観察して虫たちの世界をのぞいてみてくださいね!
文=椋鳥
- 奥本大三郎 (オクモト ダイサブロウ)
- フランス文学者・作家。NPOアンリ・ファーブル会理事長。1944年啓蟄(3月6日)、大阪生まれ。東京大学文学部仏文科卒業、同大学院修了。埼玉大学名誉教授。
- やましたこうへい
- グラフィックデザイナー・絵本作家。1971年生まれ。大阪芸術大学美術学科卒業。NPOアンリ・ファーブル会会員、日本グラフィックデザイン協会会員。