東京タワーに登ったのはこれが2回目だ。あまり登らないけど世界中のどのタワーよりも東京タワーが好きだ。デザインと色が最高すぎる。ぼくは39年物の東京産だけど、東京に観光にくる人には東京タワーと高円寺の焼き鳥屋と、上野の国立博物館の3点セットをよくお勧めしている。
首都高の芝公園付近を運転しているときや、六本木周辺の道で迷っているとき急に東京タワーが見えるとテンションがあがる。今回は家族を乗せて運転しているとき、東京タワーの近くを通ったのであがったテンションの勢いで登ることにした。
東京タワーにはあまり登らないけど、名古屋のテレビ塔も札幌のテレビ塔も、京都タワーも通天閣も2回以上登っている。台湾の台北101も香港のスカイ100にも登ってる。旅先の高いところには吸い込まれるように登っている。写真家と煙は高いところが好きなのだ。
東京の人があまり東京タワーに登らないように、名古屋の人も札幌の人も、京都の人も大阪の人も地元タワーにはあんまり登ってないんじゃないだろうか。
食べ物だってそうだ。仙台の人は牛タンを、大間の人はマグロを、小田原の人はかまぼこをそんなに食べないそうだ。東京の人はもんじゃ焼きや人形焼や東京バナナをあまり食べない。観光客が消費するものと、地元の人が消費するものは違うものだ。
東京タワーを真下から眺めると迫力に圧倒される。何枚もシャッターを切る。だけどいざ東京タワーに登ってみると感動はあまりない。東京タワーから見える景色は東京タワーがない東京の景色だ。ふと向かいの高層ビルに東京タワーが反射していることに気づいた。ここでまたテンションが上がる。急に東京タワーが見えたときとおなじだ。
東京タワーの写真はこれまでに何千枚と撮っている。だけど東京タワーから見える景色はこれまでに10枚ぐらいしか撮ってない。感動とシャッターはわかりやすく比例するものだ。ぼくにとって東京タワーは登るものじゃなくて、眺めるものなのかもしれない。