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ほぼ週刊連載 幡野さんの日記のような写真たち

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 月に一度、大学病院に通って治療をしている。血液検査をして医師と一緒に数値とにらめっこをして、風邪などをひいていなければ抗がん剤の点滴をする。朝早く病院に行って、会計をする頃は夕方になる。

 長時間病院に滞在するけど、主治医と会話をする時間は10分程度しかなく、会話の量は圧倒的に看護師さんが多い。この時間の短さが医師と患者とのコミュニケーションの難しいところでもある。

 主治医も看護師さんも味方であってくれるけど、患者目線で見れば医師と看護師では味方の質が違うのだ。看護師さんは応援やサポートのような味方だけど、医師は二人三脚のパートナーのような存在だ。医師とは目的地を合わせた上で、息も合わせなければ大変なことになる。

 目的地を決めるのも、息を合わせるために声を出すもの患者の役割だ。ここでしっかりと患者が声を出さなければ、家族が目的地を決めたり息を合わそうとして、また大変なことになる。

 ぼくは診察室であまり病気や治療の話はしない、いつも雑談をしている。医師に限らず誰かとコミュニケーションをとろうとおもえば、雑談が一番有効だとおもっているからだ。治療を始めた当初は、お互いはじめましての状態なのでギクシャクもするけど、いまでは雑談のおかげなのか息を合わせて笑うような関係になっている。

 つい先月も、主治医が本を読んでいたら「写真家の幡野広志さんに憧れて写真をはじめた。」という一文が出てきて驚いたという話をされた。その本の存在をぼくは全然知らなくて二人で笑っていたのだけど、笑い終えたあとにお礼を伝えた。

 よくよく考えてみれば癌という病気になっても、誰かに憧れられるぐらい本業の仕事ができているわけだ。これは患者の頑張りだけではどうにもならない、あきらかに医療のおかげだ。そしていくつかある医療の手段から、ぼくの希望や環境を考えて治療を提供してくれる主治医のおかげだ。

 ぼくだけが頑張っているわけじゃなく、製薬会社がいい薬を製造してくれているだけじゃなく、二人三脚のパートナーである主治医のおかげだろう。主治医にお礼を伝えると、しんみりとした空気になってしまった。しんみりとした空気よりも、笑い合える空気のほうが合っているような気がする。

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