知らない人からちょっと深刻で、胸が痛くなるような謝罪メールが送られてきた。その人はぼくのことをよく知っていたようだけど、ぼくはまったく記憶がない。
ぼくはそもそも記憶力があまりいいほうじゃない、そもそも脳をつかった〇〇力という類いはまんべんなく低いとおもう、ひらたくいえばバカだ。人の名前なんて一度会っただけではまず覚えられない。
だからイベントなどで書籍にサインを書いている時はけっこう大変だ。なんども足を運んでくれる方がいて、顔はなんとなくわかるのだけど名前はさっぱりわからないという人がなからずいる。
相手は自分の名前をぼくが覚えてくれているだろうという前提だし、こちらも名前は聞きにくいのでサインを書く短い時間で心理戦が始まる。その日の日付を書きながら前回会ったときに話した内容や場所などをこちらから話す。
ぼくは名前は覚えられないのに、会話の細かい内容なんかはよく覚えていて、驚かれることが少なくない。でも名前が覚えられないので、タイトルのついていない整理不能な本が頭の中にいっぱいあるようなもので、あまり役には立っていない。
会話を覚えているのは実際に会った人限定で、メールやSNSでのやりとりなどは友達でもないかぎり、やりとりした内容すら覚えていないので、やっぱり壊れたレイディオのようにポンコツなのだ。
サインを書いているときに名前はおもいだせないのだけど、ぼくはあなたの会話をここまで覚えてますよというポーズをしつつ、お名前なんでしたっけ?と最後に聞いてこちらの申し訳なさと、相手のガッカリ感をすこしでも減らすための心理戦をしている。
顔はわかるけど名前がわからない問題は、きっとサインを書いている人あるあるだとおもう。ファンとの距離が近いアイドルなんかでもきっと頭を悩ませていることだとおもう。私の名前覚えてますよね、どこで会ってなにを会話したか覚えてますよね?的なスタンスでクイズをふっかけられると正直なところ本当に疲れる。短い時間で1対1の対応を何百、何千とやっているのだ。
アイドルとかのイベントに行くという全国の鈴木さんは「鈴木です、前回の△△(地名とか)でのイベントぶりです。」とかいってくれるとじつは相手をすんごい助けることになります。佐藤さんでもいいんだけど、たぶんそれだけで好感度は上がります。
謝罪メールのことを書こうかとおもったの脱線して、まったく違う話を書いてしまった。こういうことを含めてやはりポンコツなんだとおもう。謝罪メールのことはまたこんど書こうとおもう。