体調がすこぶる悪くなり、なんらかの感染症にかかっているとすぐにわかった。
ただ、あきらかにいつもとちがうのは呼吸が苦しいことだ。
コロナで騒がれているこの時期にいきなり病院にいっても迷惑だろうから、帰国者接触者相談センターなるところに相談すると、いますぐ病院にいくよう指示をされた。
病院に到着すると、テレビやネットニュースでさんざんみかけた防護服をまとった重装備の医療者が何人も待機していて、病院の敷地内に隔離されたテントに案内をされた。
テントの屋根にとりつけられた蛍光灯に照らされながら問診や検査をうける。
健康なときは0.1ぐらいのCRP(PCR検査じゃないよ)という体内の炎症反応の数値が14とすこし高い。
すこし前に肺炎と敗血症になってしまって死にかけたときは49というハイスコアをだして医療者の方々を驚かせたことがある。だから14ときくと、ぼく自身もなんだ大したことないかとおもってしまうけど、やっぱりキツいものはキツい。
現在は抗生物質がよくきいて、呼吸は喘息の薬を吸引しておちついた。PCR検査はしなかったし、医師から直接きいたわけじゃないから想像だけど、きっとウイルス性の感染ではなく細菌性の感染だったのだろう。
テントで隔離されているときに、看護師さんに「エラいですね、エラい」となぜかたくさん褒められた。なんでそんなに褒められるんだろう?いきなり病院にこないで相談センターに連絡してから病院にきて、院内感染のリスクを抑えたことなのか?えへへ。っておもったけど、あきらかに会話が噛み合わない褒めかただった。
気になって看護師さんの出身地をきくと名古屋だと教えてくれた。なんで名古屋のひとは出身地を愛知といわずに名古屋というんだろう。神戸と横浜市民、あなたたちもだ。
この看護師さんの“エラいですね”は“大変ですね”という意味だったのだとおもう。看護師さんに直接きいたわけじゃないから想像なんだけど、これなら会話が噛み合う。名古屋や山陰地方なんかでたまにきく方言だ。
隔離と検査と処置は5時間ほどだった。この5時間でぼくに関わった医療者は10名以上だ。感染の不安や緊張やストレスを与えただろう。ぼくが隔離されたテントからでた医療者が、外でふぅーーーっとおおきく呼吸していることからも伺えた。
いまは(このときは)一日に2〜3人程度しかコロナ疑いの患者さんはこないけど、これが一日に20人もきてしまえば現場はかなり圧迫されるだろう。しかし時間の問題だともおもう。
世界が大変なことになってしまった、これからどうなるのだろうか。
収束を願うばかりだけど、健康な人が大病を患って一命をつなぎとめても、健康なときの日常は戻ってこないこととおなじで、あたらしい日常がはじまるのかもしれない。