作家紹介
こどもの本を考える:西本鶏介
No.88こどもの詩を読む
川崎洋さんのまとめられた『こどもの詩』(文春新書)を読みました。読売新聞の<家庭とくらし欄>に掲載された詩の中から180編が選びだされています。ときどき目にしていたのが、こうして1冊になると、こむずかしい大人の詩よりもはるかにわかりやすく、その想像力の豊かさや視点の鋭さにびっくりさせられます。
<おつきさまが つめにみえた/おおおとこのつめだ/つめきりで きって おそらに なげたのかなあ(小1・女)>、<おしっこ したくて/がまんできないときって/へんなダンス/おどっちゃうんだよ(5歳・男)>、<さんたさんののっている/となかいをください/とべるとなかいです/ほんものですよ/おもちゃじゃだめです/おねがいします(小1・女)>
こんな詩を読むと、もう一度こども時代へもどりたくなります。かと思えば、大哲学者のようなことばで、大人たちをびっくりさせます。
<かみさまは/ひとの じんせいを/しぬまで しっているから/つまんないだろうな(小1・女)>、<四はみんなきらう/四は死につながるからと/でもぼくはちがう/しんぼう、しれん、幸せと/思っている/ぼくは四年四組四番です(小4・男)>
わが子をいじめるお母さんがふえているといいます。どうしてそんな気持ちになるのか想像もできません。つぎのような詩を読むと、おかあさんであることのよろこびをしみじみと感じられるはずです。こどもこそがかけがえのない宝物なのです。
<ママ いつでも/ぼくのこと/ギューって(だきしめて) していいよ/ぼくはあったかいから/さむいひは/おとくだよ(6歳・男)>、<お母さん もし大地しんがきて/何か大事なものを持って/にげるとしたら/何を持って行く?/わたしは/おかあさんを持って行くよ(小4・女)>
西本鶏介(にしもとけいすけ)
1934年、奈良県に生まれる。児童文学の評論・創作・民話研究など幅広く活躍。各種の児童文学賞の選考委員をつとめる。昭和女子大学文学部教授。各ジャンルにわたって著書は多いが、読み聞かせのための本として『読みきかせ日本昔ばなし(10巻)』(小学館)『童話が育てる子どもの心』(同)『子どもとお母さんのためのお話(日本・外国)』(講談社)、『こどもと大人のためのメルヘン・グリム童話(1)・(2)』(ポプラ社)、絵本に『お母さん、ひらけゴマ!』(同)などがある。

















