ポプラ社 百年文庫

名短篇の本棚です

全巻ラインナップ

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コリンズ『黒い小屋』 
アラルコン『割符帳』 
リール『神様、お慈悲を!』


Illustration(c)Sumako Yasui

ピンチが、
思いがけない道を開く

「旦那様」の財布を目当てに、荒くれ者が真夜中の家を襲う。気丈な娘が孤独と闇に立ち向かう(コリンズ『黒い小屋』)。「おら達も、もう直ぐ別れなくっちゃなんねえだ!」――愛情込めて育てた南瓜が何者かによって盗まれた。乾いた土地に生きる老人の逞しさ(アラルコン『割符帳』)。大聖堂の玄関脇に陣取り、物乞い人生を送る老人ハンス。若き友との出会いと別れ、そして意外な結末(リール『神様、お慈悲を!』)。勇気と情愛でわが運命を切り開く人々の物語。

著者紹介

コリンズ Wilkie Collins 1824-1889
イギリスの小説家、劇作家。ロンドンに生まれる。一時、画家や法律家を志すが、ディケンズらと交流を結び、本格的に作家を志す。1860年の『白衣の女』は大成功を収め、『月長石』は探偵小説として高く評価された。そのほかの作品に『ノー・ネーム』『黒い衣』など。

アラルコン Pedro Antonio de Alarcón 1833-1891
スペインの小説家。南部の町グァディスに生まれる。スペイン・モロッコ戦争での従軍記録、『アフリカ戦争従軍記』で作家デビュー。おもな作品に、『三角帽子』『醜聞』『球を捧げる幼児イエス』など。

リール Wilhelm Heinrich Riehl 1823-1897
ドイツの小説家、文化史家。ナッサウ公領(現ヘッセン州)に生まれ、ボン大学で哲学、歴史学、美術史を学ぶ。83年に貴族の称号を得、バイエルン国立博物館館長に就任した。歴史学の主著に『ドイツ民俗の自然史』、小説に『さすらいの娘』『主の年に』など。

編集者より

収録作3篇はいずれも海外の作品。貧しい境遇におかれた主人公が、それぞれ事件に巻き込まれながらも強い意志と知恵で危機を乗り切り、人生を切り開いていくお話。タイトルからは「機転」「転機」といった言葉が浮かびます。特におすすめは、ドイツ語翻訳家・山崎恒裕さんによる新訳、リール作『神様、お慈悲を!』。舞台は16世紀、大聖堂脇で物乞い人生を送る偏屈な老人ハンスと、「彼こそ最大の友人であり、自らの後継者」と見定めた若者との交流、別れがユーモアを織り交ぜながら描かれます。テンポよく展開し、思わぬ結末に導かれる三篇、ぜひご一読ください!(S)