「惹きこまれた」「ファンになる!」
各界からの絶賛の声、続々!

書影

ポプラ社刊
定価:本体1500円(税別)
カバー作品制作:松下裕子(Nomena Inc.)

小気味よい毒と、圧倒的な健やかさ。このひとだけの世界が持つ吸引力に、読み始めてすぐ、周りの音が聞こえなくなった。村山由佳氏(作家)
私、この人がデビューしたらファンになる!大矢博子氏(書評家)
登場人物の外面と内面が重層的に描かれていて、何よりも、筆致に独特の味というか、空気感がある。すぐにでもプロの作家として活躍できるだけの筆力と、ある種の感性を強く感じさせる。藤田香織氏(書評家)
力のある作家の誕生を、心から祝いたい。(『asta*』2015年7月号より)瀧井朝世氏(ライター)
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ストーリー

婚約者から突然別れを告げられた田中妙は、
道端で大泣きしていたところを拾ってくれた
菫さんが営む雑貨屋「ビオレタ」で働くことになる。
そこは「棺桶」なる美しい箱を売る、少々風変わりな店。
何事にも自信を持てなかった妙だが、
ビオレタでの出会いを通し、少しずつ変わりはじめる。

人生を自分の足で歩くことの豊かさをユーモラスに描き出す、
心のすきまにしみこむ温かな物語。

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登場人物

「ビオレタ」を取り巻くちょっと風変わりで魅力的な登場人物

田中妙(たなか・たえ)
「松竹梅で言ったら蓼(たで)ですよ、わたしなんか」本書の主人公。二十七歳女性。会社をやめた直後に婚約者にも振られ、道端で号泣していたところを菫さんに拾われる。何事にも自信がもてず、卑屈になりがち。
北村菫(きたむら・すみれ)
「わたしはあなたのさびしさを埋めるためにあなたを雇っているわけではない」妙を拾ってくれたビオレタの店主。ドーベルマンのように凛々しい風貌で、何事にも動じない。手先が器用で、宝石のように美しい雑貨をつくるが、料理は苦手。
千歳健太郎(ちとせ・けんたろう)
「へえ、菫さん、こんなかわいい女の子を雇ったんだ。これからはちょくちょくおつかいに、いや用がなくても遊びに来てね。新しい楽しみができたよ。嬉しいなあ。あ、妙ちゃんっていうんだ。かわいいね」ビオレタの取引先であるチトセボタンの店主。菫とは、いわくありの間柄。妙は、「とりあえずのつなぎ」のつもりで、付き合うことに。
北村蓮太郎(きたむら・れんたろう)
「その完全な他人事のスタンスをやめてくれよコロ子。不快なんだよ」菫の息子で、大学生。隣の市のアパートで一人暮らし。背の低い妙をコロ子と呼んでからかう。
桃子(ももこ)
「親は大切にすべし、というのは世間の常識じゃない。だからあんな最低なこと誰にも言えなかったわけ」ビオレタのお客で、千歳のアパートの大家の娘。母親との関係に悩んでいる。
田中実鶴(たなか・みつる)
「入れたいのはかたちのないものなので」ビオレタのお客。会社の後輩と付き合っていたことを妻に知られた翌々日、妻を交通事故で亡くす。
妙の姉
「あちこち歩き回ってさ、へとへとのときに椅子見つけたら思わず座るでしょ。駅のホームとかね、ああいう椅子。そういう恋愛のこと。駄目な恋愛のこと。あたしの持論」二児の母親。週一ペースで実家を訪れ、妙にちょっかいを出していく。
妙の父
「なあ妙。親は三人こどもがいれば、三人とも大事だよ」定年退職後の趣味は、昼の主婦向けドラマ鑑賞というおっとりさん。
ツカサ伯父
「妙子隊員、最近どうだ」妙の伯母の夫。会社をたくさん経営している。昔から妙をいつも座の中心に引っぱり出そうとする。
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著者紹介

著者近影
寺地はるな(てらち・はるな) 1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。会社勤めと主婦業のかたわら、小説を書き始める。
『ビオレタ』で、第4回ポプラ社小説新人賞を受賞。2015年6月『ビオレタ』(ポプラ社刊)でデビュー。
『ビオレタ』刊行に寄せて めざしていた場所とはまったく違う場所にたどりついてしまうことが、しばしばあります。どこでまちがったのだろう、と思うことも。
 けれどもそうしてたどりついた場所が、自分にとってかけがえのない大切な場所になることだって、確かにあります。自分の行きたかった場所が、ほんとうに自分に合っている場所とは限らないからです。ここは私のめざしていた場所ではないから、という理由で今自分が立っている場所をないがしろにするのはもったいないよ、というような気持ちで、この『ビオレタ』というお話を書きました。
 主人公はひとことで言うとわりとだめな女の子で、人によっては読むと苛々するかもしれません。
「わりとだめ」な人というのが私の周囲にはたくさんいて(おそらく彼らも私のことを「わりとだめ」な人だと思っているでしょうが)、でも私は、その人たちに救われたことが多くありました。生きていく、ということは、そういうことだと思っています。 『ビオレタ』刊行記念インタビュー 寺地はるな×インタビュアー藤田香織(書評家)ウェブアスタからお読みいただけます!
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コメント

全国書店員さんからも応援コメントが続々届いています!!

三省堂書店営業企画室内田剛さん
「・・・とにかく巧い・・・最高に面白い・・・率直に、そして緻密に紡がれた上質な物語世界から人生の真理が伝わってきた。何という完成度の高さ‼これは驚くべき稀有な才能だ。表現のセンスと細やかな感情の機微、さらに行間からにじみ出る文学の香りに大いに魅了された。」
紀伊國屋書店名古屋空港店山崎蓮代さん
思い出や記憶を葬る「棺桶」に自分なら何を入れるのだろうかと考えてた。
悩んでばかりの妙だけれど、彼女の弱さは誰かの強さでもある。千歳さんの封じたいモノの理由の深さ、菫さんの不器用で下手くそな表現方法が、愛しい。そんな二人の息子、蓮太郎くんのカレーの食らいっぷりは愛以外の何者でもないと思うのだ。「イスリロン」勉強になりました(笑)
今井書店本の学校今井ブックセンター森川佳美さん
「自分の名前が地味だと思っている妙、自分は必要とされていない存在なんだと思っている妙、相手の気持ちを決めつけて言うのをやめてしまう妙・・・いろんなところに自分がいる、と思いながら読みました。そして誰かの「庭になる」という表現が、考えたこともなかったけれどすごく優しい愛の表現だと思いました。笑いのテンポもとても心地良かったです。いつも心に置いておきたい、そんな素敵な本だと思いました。」
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書影

ビオレタ

寺地はるな(てらち・はるな)
ポプラ社刊
定価:本体1500円(税別)
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