“「働く」と「子育て」のこれからを考える”をテーマとしたファミリー向けイベント
「WORKO!フェス2019」(主催:朝日新聞社)が、2019年11月3日(日・祝)に
東京国際フォーラムで開催されました。
今回、このイベントの一角に「のびのび読み体験コーナー」が登場し、終日多くの親子連れでにぎわいました。絵本専門士2名によるお話会を含め、当日のブースの楽しい様子をご紹介します。
「のびのび読み」は子育てファミリーと絵本の出会いの場
スマートフォンやYouTubeといったデジタル媒体を上手に活用する子育てファミリーが増え、さらには書店に足を運ばずとも本を購入できる時代となった今、子どもたちが絵本に直接触れる機会が少なくなっています。
「のびのび読み」は、「赤ちゃんやその親たちに自由にのびのびと絵本に親しんでもらうことで、気軽に本に触れてもらい、いずれは本が好きになってほしい」そんなポプラ社のパパママ社員の声からスタートした活動で、アリス館・岩崎書店・童心社などの出版社から絵本協力を得てブースを運営しています。
イベント開始と同時にのびのび読み体験ブースには多くの親子連れが!
イベント当日は、あまりの来場者の多さに開場時間を早めるほどの盛況ぶりで、のびのび読み体験ブースにも、会場と同時に多くの親子連れが遊びに来てくれました。
特に目立ったのが、パパたちの姿。慣れた様子で絵本の読み聞かせをするパパがいる一方で、到着してすぐにママにSOSコール!?をするパパもいるなど、それぞれのイクメンぶりを発揮していました。
今回の対象は主に0〜3歳。ブースには親世代にも懐かしいロングセラー絵本から最新の仕掛け絵本まで、この年齢の子どもたちの発達段階に合った幅広い種類の絵本が、子どもたちでも手が届く場所に並べられていました。
赤ちゃん絵本のお話会では子どもたちからリクエストが殺到!
この日はブース内で、午前1回、午後2回の合計3回、絵本専門士の資格を持つ保育士・藤得顕さん、松村美香さんによる赤ちゃん絵本のお話会が開催されました。
▲(左)松村美香さん(右)藤得顕さん
お2人が手遊びを始めると、それまでバラバラに遊んでいた子どもたちの視線が一気にお2人に集中! そうして子どもたちの注目が集まったところで、いよいよお話会が始まります。
最初の絵本は、ページをめくるたびにいろいろな生き物たちが飛び跳ねる様子が楽しい
『ぴょーん』(作・絵 まつおか たつひで / ポプラ社)。“ぴょーん”という藤得さんの声に合わせて松村さんが大きく両手を広げると、それに合わせてぴょーん!と飛び上がる子どもたちの姿からは、読み聞かせにもいろいろな楽しませ方があることが分かります。
何冊かの絵本の読み聞かせが終わると、少し年齢の高い子どもたちから「これ読んで!」とリクエストの声が次々と上がります。
中でも一番の盛り上がりを見えたのが『きんぎょが にげた』(作 五味太郎 / 福音館書店)。金魚鉢から逃げ出した金魚を見つけると、すぐに絵本に駆け寄って指差しする子どもたちの姿が印象的でした。
おはなし会の最後には絵本にまつわる質疑応答も
会場にいたママやパパたちからの質問に絵本専門士のお2人が答える時間も設けられました。当日出された質疑応答の一部をご紹介します。
Q:絵本を与えてもひたすらページをめくるだけ。それでも大丈夫ですか?
A:はじめは、絵を一緒に眺めて「ネコさんがいるね」などと声かけをしながら絵本の世界を楽しむだけでも十分です。ストーリーの読み聞かせにあまりこだわる必要はありません。
Q:4歳ですが、ストーリー性の高い長文の絵本は途中で飽きてしまいます。
A:集中力が途切れてしまうのは、乳幼児期の子どもの特徴です。そこで読んでいる途中に注目してほしい部分を指さしするなど動作を入れて変化をつけたり、読み聞かせの時にはテレビを消し、読み方にリズム感を持たせたりなどして、子どもが物語の世界に入り込めるように環境を整える工夫をしてみてはいかがでしょうか。途中少し脱線しても、最終的に「終わり」と本を閉じるところまでもっていき、1冊読み終えるという体験を積み重ねることで、少しずつ長文の絵本が読めるようになっていきます。
Q:いつも同じ絵本しか読みません。違う絵本も読んでほしいのですが。
A:子どもの成長はまさに日進月歩。今は同じ本ばかり読んでいても、1週間後には違う絵本に興味が移っていることも多いものです。さりげなく違う絵本を、子どもの手の届く範囲においておく程度で大丈夫です。
絵本専門士のお2人に直撃! 教えて! 絵本のこと 読み聞かせのこと
イベント終了後、藤得さん、松村さんに絵本にまつわるお話をお聞きしました。
――多くの親が絵本選びに悩んでいます
藤得さん 子どもの発達段階に合ったものを選ぶのが一番です。0歳の頃なら絵本をなめたり、破こうとしたりしてもかまいません。乳児には、丈夫なボードブック(厚紙の絵本)が最適です。
絵本は物語絵本だけではなく、オノマトペ(擬声語)や仕掛け絵本などたくさん種類があるので、幅広いジャンルをカバーしておくと、子どもの興味が変わった際にも対応できます。
松村さん 図書館や書店などで、子どもがどの本に興味を集中させているか、よく観察してみてください。子どもが関心を寄せる絵本を選んでみるのも良いでしょう。
――読み聞かせをする時に心がける点などはありますか?
松村さん 同じ絵本でも、読み手によってまったく違う世界が広がります。そのため、ママやパパ、園の先生など、異なる読み手に読んでもらうことが、子どもには大きな刺激になります。
――将来読者好きな子に育てたいのですが
藤得さん おもちゃのように、絵本が常に身近にある環境を整えてあげることが大切です。あとは1日に1冊、時間にしたら1〜2分でも構わないので、読み聞かせの時間を作りたいですね。読み聞かせは子どもだけではなく、読み手である大人の心も安定させる効果がありますよ。
――親世代にアドバイスがあればお願いします。
松村さん ママやパパたちから、子どもとどう接していいかわからないという悩みを相談されることがあります。そんな時はぜひ、絵本を活用してください。絵本は、親と子を結びつける最良のコミュニケーションツールになってくれるはずです。
藤得さん 時には、パパがママに向かって絵本の読み聞かせをするなど、読み聞かせを“してもらう”経験を試してみてください。子どもの頃の記憶がよみがえったり、聞く側の気持ちが理解できるようになったりしますよ。
絵本は子どもたちの“永遠の友だち”
当日参加された、2歳5カ月のお子さんのママが「絵本は実際に手にとって中身を見てみないと子どもに合う、合わないが分かりません。今日のようなイベントで子どもがたくさんの絵本に触れ合えると、どんな絵本に興味があるのかが分かるので助かりますね」と感想を聞かせてくれました。
会場でさまざまな絵本に目を輝かせて手を伸ばす様子に、子どもたちが絵本に直接触れ合う機会をできるだけ多く設けることの大切さをあらためて感じた一日でした。
また、朝日新聞社の[WORKO!フェス2019]レポートページでも「親子で楽しむ“のびのび読み”コーナー」として当日の様子が紹介されています。ぜひあわせてご覧ください。
[WORKO!フェス2019]の「のびのび読み」ブースレポートはこちら>>>
[WORKO!フェス2019]全体のイベントレポートはこちら>>>
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