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追悼「上野紀子先生が教えてくれること」 ポプラ社幼児編集部 担当編集者より

2019年2月28日、絵本作家で画家の上野紀子(うえの のりこ)先生がお亡くなりになりました。1973年『ELEPHANT BUTTONS』(アメリカ/ハーパーアンドロー)で絵本作家としてデビュー。1974年に『ねずみくんのチョッキ』(ポプラ社)で日本での作家活動を開始され、小学校の教科書にも採用されている『ちいちゃんのかげおくり』(あかね書房)など、200冊を超える素晴らしい絵本を残してくださいました。また、シュルレアリスムの画家としての活動も精力的に行われており、上野先生の作品は、鉛筆や水彩で描かれたやわらかいタッチから、『扉の国のチコ』(ポプラ社)に代表されるような重厚な油彩画まで幅広く、多くの人々の心をつかんできました。

上野先生お写真

■上野先生の「ねずみくん」
「ねずみくんの絵本」シリーズは、今年で45周年を迎えます。
1作目の『ねずみくんのチョッキ』以降、夫で絵本作家のなかえよしを先生が構成を考え、上野先生が絵を描くという二人三脚のスタイルで、これまでに35作のお話を紡いでくださいました。

『ねずみくんのチョッキ』書影画像
▲『ねずみくんのチョッキ』

先生方のアトリエに伺うと、大人の背丈ほどの高さの油絵や雑誌のイラストカット、手製の人形からクッションに至るまで、長年にわたって生み出してきた多種多様な作品が出迎えてくれます。「散らかっていてお恥ずかしい」と上野先生は仰っていましたが、見る者の想像力を掻き立てるような、素晴らしい空間です。上野先生は何かを描かずにはいられない、作らずにはいられない、生来の表現者であったのだと思います。鉛筆を握った途端、こちらの声が届かなくなるほど集中されていたのを思い出します。「ねずみくん」を一筆一筆迷いなく描かれる姿は、小柄な上野先生が大きく見える瞬間です。目線やしっぽの動き、首の微妙な傾き加減で動物たちの感情を見事に表現されています。ねずみくんや動物たちの表情はとても変化に富んでいて「どうしたの?」「何があったの?」と思わず話しかけたくなるような情感があり、ねずみくんたちの気もちを幾通りにも想像することができるのです。

(左)原画のイラストカット(右)作業机
▲(左)原画のイラストカット(右)作業机

■「チコ」の世界
上野先生の多彩な作品のひとつに、黒帽子をかぶった少女・「チコ」の作品群があります。なかえよしを先生が文章を担当し、絵本としても発表されています。「チコ」はなかえ先生が想像し、上野先生が具現化した登場人物で、自分の斜視を隠すために帽子を目深に被り、望遠鏡を目から離さない女の子です。絵本では、人と違うことに寂しさを感じている彼女に、不思議なちからをもった望遠鏡が様々な世界を見せてくれる物語が描かれています。この作品には、想像することで目には見えない大切なことが見えるというメッセージが込められています。また、人と違うことに対して孤独や劣等感を感じている人たちを、肯定し包み込むような温かさもあります。黒を基調とした幻想的な絵は、「チコ」の世界を鮮やかに表現し、多くの読者を想像力の旅へといざなってくれています。

『扉の国のチコ』書影と中面画像

■「ねずみくん」と「チコ」に共通する思い
「ねずみくん」は小さなからだに、思いやりに満ちた広い心を持った主人公です。「チコ」は想像力をもって世界をみることを教えてくれます。上野先生が生み出してきたものには、「目に見えない大切なものをつたえる」というテーマが込められています。上野先生が生涯を通して表現し続けてきたものは、これからも時代を超えて人々の心に届くに違いありません。

■最後に
このようにすばらしい作品を多数発表されている中でも、上野先生は奢らず謙虚で、常に絵に対して全力を注がれる方でした。1年に1度、先生から新作のラフをいただく際に、緊張した表情で私たち編集者の反応をじっと見つめていらした様子は、忘れることができません。新作を拝見できる喜びとともに、リアクションひとつにも大変に緊張する、特別な時間でした。
そして上野先生は、普段の生活の中から、ご縁や出会いをとても大切にされる方でもありました。打ち合わせをご一緒したお店の名刺を必ず記念に持ち帰り、私たちがお送りした手紙の一通一通を丁寧に保管してくださっていました。『ねずみくんのプレゼント』で描かれているように、人にとっての幸せは身近な場所や物、人を思うその気もちの在り様なのだと、そのお姿を通して学ばせていただきました。

上野紀子先生が心を込めて描かれた「ねずみくんの絵本」が、どうかこれからも、長く皆様に愛され読み継がれていきますように。
これからも小さなねずみくんを宜しくお願いいたします。

ポプラ社幼児編集部 担当編集者より



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