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『ティモシーとサラ かあさんのすきだった木』刊行記念・芭蕉みどり先生インタビュー

芭蕉みどりさんの『ティモシーとサラ かあさんのすきだった木』が2月に刊行になりました。
「ティモシーとサラシリーズ」は、1989年に刊行された『おたんじょうびのおくりもの』からつづく絵本シリーズ。ふたごのこねずみのティモシーとサラと、家族、森の友だちとのあたたかな心のつながりを描き、時をこえて人気のロングセラーとなっています。
新刊にこめた思い、シリーズ誕生にまつわるひみつのエピソードなどを芭蕉さんにお聞きしました。



──新刊『ティモシーとサラ かあさんのすきだった木』は、1本の木が大切な役割をはたす物語ですね。この物語をかこうと思ったきっかけ、こめた思いを聞かせてください。

(芭蕉さん)上野の博物館でおこなわれていた「木の仏」展、東北の巨木たち、ご神木として崇拝された木がその場で仏像になったという「立木観音」など、印象にのこる「木」たちをこれまでたくさん目にしてきました。
自分の木を1本決めて、よろこびも悲しみもその木に話しかけるというフィンランドの風習を紹介したドキュメンタリーも見たことがあります。
「木」は、ひとの思いをやさしく抱きしめてくれるものなのですね。
わたし自身も近所の小さな公園のイチョウの木を勝手に自分の木にしているんです。通りかかるときに、タッチして心のなかであいさつしたりして……。これまでもこのイチョウにどんなになぐさめられ、はげまされてきたかわかりません。
そんなことがあって、「木」とひとの思いをつなげた物語を描きたいと思い、この作品ができあがりました。
ほかに、2011年の東日本大震災と、ほぼ時を同じくして父を亡くしたことも、この作品に影響しているかもしれません。

──この作品でいちばん気に入っているシーンはどこですか?

(芭蕉さん)この物語では、ティモシーとサラのすこしだけ年長の友だち・リックが自分の大切にしている木について語るのですが、その木の根もとでリックがつかれて眠ってしまうシーンがあります。ここがいちばん気に入っています。お母さんを亡くしてさびしい心をかかえながら、木に抱かれるようにして眠るリック。そしてお母さんの手の指に、リックにふれたい、でももうふれられない……というもどかしさを表現しました。



──「ティモシーとサラ」の最初の作品が生まれたときのことを教えてください。

(芭蕉さん)30年ほども前のことなので、よく覚えていません(笑)。
こねずみのくりくりした黒い目とこちょこちょ動くからだを描きたかったのかなあ。
主人公をふたごにしたのは、年齢のちがう兄と妹、姉と弟といった関係でなく、対等にしたかったからです。ティモシーとサラという名前は、子どものころに好きだった「ダンボ」と「ドリトル先生」からとりました。

──シリーズ1作め『おたんじょうびのおくりもの』にこめた思いや、誕生のいきさつは?

(芭蕉さん)この絵本の中に暖炉のシーンがあるのですが、その1枚だけをたまたまポプラ社の坂井編集長(当時)にお見せしたのです。そうしたら、「この絵で1冊、お話を考えて」と言われました。この1枚の絵から物語をふくらませていってつくったお話がシリーズの1作めになりました。

──登場人物も背景もとても繊細でやわらかな線、あたたかな色合いで描かれていますが、絵に関してこだわりを持ってらっしゃることは?

(芭蕉さん)その時その時のせいいっぱいで描いています。「心あまって力足らず」はいなめないなあ……とも思っています。
こだわりは、絵本のなかにかならず食事のシーンを描くこと。ものを食べることは、なにか「いろいろなことすべて」をあらわしているような気がするんです。描いた食事シーンの絵を見て、「しあわせ」ってこういうことかなあと思ったりもします。

──このシリーズ、そして新刊『ティモシーとサラ かあさんのすきだった木』は、どんな方に読んでいただきたいと考えていらっしゃいますか?

(芭蕉さん)どなたにでも! お子さんたちはもちろん、かつて子どもだったおとなたちも、読んでくださるなら、もうそれだけでありがたいことです。
最近、「子どもに読んでいたら、『ふゆのよるのおくりもの』のお話にかくされていたひみつがわかった」という声や「『ティモシーとサラときのおうち』を読んで、中に登場する人物のセリフがずっと心にのこっているんです」などといった声をいただいたりして、とてもうれしく思っています。

新刊については、ことばで表現するとつきなみで安っぽい感じがしてしまうかもしれませんが、どうしようもない喪失感をかかえて生きている子どもたち、そしてその喪失感が、まわりの人や自然、時の流れにすこしずつ癒されてしまうことへの罪悪感を持ってしまう子どもたちへ届けたいと思っています。
それから、もしできるなら、大人の方には、お話に登場するお父さんやおばあちゃんのような、器用なことばを持たないひとたちの、おずおずとした気づかいを感じていただけたら幸いです。



──これからどんな絵本を描いていきたいと考えていますか? 「夢」をぜひ聞かせてください。

(芭蕉さん)いっぱいありますよ! 日本的な風景の中、のんびりとおにぎりを食べる。「友、遠方よりきたる、また楽しからずや」みたいな本。
水墨画のような、でもカラフルで楽しい絵の中を主人公が犬やロバといっしょに旅をする本。そこには、そのあたりでとれた野菜や果物を売っている小さな屋台があって、木かげには野仏、湧き水、それから小鳥の声がして……。かたわらに地味な花がいろいろと咲いている山道をめぐっていくような、そんな絵本を描いてみたいなあと思っています。

──ありがとうございました。来年は「ティモシーとサラシリーズ」刊行から30周年です。これからも、作品を通して、やわらかな森の風の中に生きる小さな登場人物たちのやさしさをわたしたちに届けてくださることと思います。
楽しみにしています!


プロフィール

芭蕉みどり (バショウミドリ)
1989年「ティモシーとサラの絵本シリーズ」第1巻『おたんじょうびのおくりもの』(ポプラ社)がデビュー作。
ティモシーとサラのシリーズ以外では、『コキヘフカシーモ3世おいものすきな王さま』、『くうちゃんとかんたのおまつり』。
偕成社から『サーカスのよる』がある。
好きなことは、旅をすること。本を読むこと。東北地方の縄文遺跡や、博物館見学、山歩きや温泉巡り。最近凝っているのは、水墨山水画。
ブナの林の中を歩くのが至福の時です。

ウェブサイト https://timothy-sarah.jimdo.com/


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