キャラクターは著者の分身!? 「11ぴきのねこ」シリーズ(こぐま社)馬場のぼる先生の、「くまのまあすけ」シリーズが復刊!
新『くまのまあすけ』&『まあすけのぼうし』
「11ぴきのねこ」シリーズ(こぐま社)で知られる絵本作家・馬場のぼる先生が、今年で生誕90周年を迎えるにあたり、今年5月、『くまのまあすけ』、『まあすけのぼうし』がポプラ社より復刊されました。
「くまのまあすけ」シリーズは、1980年代に刊行されていた絵本で、今では入手できない状況になっていました。しかし20代の若手編集者が原本棚から発掘し、「こんないい作品が今の子どもに読まれないのはもったいない!」と、この生誕90周年という年を記念して、復刊されることになったのです。
主人公「まあすけ」は、のんびりマイペースで、好奇心旺盛、とっても素直な子ぐまです。第1弾の『くまのまあすけ』は、ふわふわと飛んできた風船を追いかけるお話ですが、ほかの子の手にわたっても、木に登って「ふうせん、また とんでこないかなあ……。」とのんびりモード。
馬場のぼる「くまのまあすけ」(ポプラ社刊)より
馬場のぼる「くまのまあすけ」(ポプラ社刊)より
そのあとも荷物番をひきうけたりして、なかなか風船を探しに行けません。そんなのんびりまあすけは、風船を手に入れられたのでしょうか…?
第2弾の『まあすけのぼうし』で、まあすけは自転車にのる練習をします。でも、なかなかうまくのれません。
そんな中出会ったやぎのおじさんに「これを かぶると、すぐ じてんしゃに のれるように なる ふしぎな ぼうしだよ。」と帽子をもらいます。
馬場のぼる「まあすけのぼうし」(ポプラ社刊)より
でも、風で帽子が飛ばされてしまい、さあ、たいへん!……せっせと自転車で帽子を追いかけるうちに、いつのまにか自転車に乗れるようになったまあすけ。
とあるところで帽子もみつかります。そしてまだ自転車に乗れない友達に“不思議な帽子”を譲ってあげるのです。
馬場のぼる「まあすけのぼうし」(ポプラ社刊)より
「ごりすけ よかったね。」というまあすけは、とても満足そう。
のんびりやで、少しおっちょこちょいだけど、優しいまあすけ。まあすけのお話を読んでいると、ほっこりおだやかな気持ちになって、自然に笑顔がうかびます。
著者の馬場のぼる先生は2001年に亡くなられていますが、奥様によると、「まあすけのたたずまいや表情がおじいちゃん(馬場先生)にそっくり」なんだそう。
マイペースで優しい性格は、馬場先生ご自身に通じるところもあるんでしょうね。
馬場のぼる先生の自画像。まあすけに似てるかな?
40年近く前に描かれた作品ですが、馬場先生の人柄が反映された、懐かしくてあたたかい、「まあすけ」の世界は、親子でゆったりすごす絵本タイムにもぴったりです。
何十年経っても色あせず多くの人に愛される「まあすけ」シリーズ、ぜひ手にとってみてください。あなたの「大好きな一冊」がまたふえるかもしれません。
文=月乃雫
- 馬場 のぼる (ババ ノボル)
- 1927年、青森県三戸町生まれ。漫画家として、新聞・雑誌・絵本などで活躍。『11ぴきのねこ』(こぐま社)で第15回サンケイ児童出版文化賞、『絵巻えほん 11ぴきのねこマラソン大会』(こぐま社)でイタリア・ボローニャ国際児童図書展エルバ賞など受賞多数。1995年、紫綬褒章受章。その他の作品に、『もん太と大いのしし』(ポプラ社)、『たらふくまんま』(こぐま社)などがある。2001年、永眠。