エピソード1
カウンターで要望を伝えてくれる利用者さんは本当にありがたく、ようこそ!という気持ち。「レファレンスをお願いしたい」に「何でしょう!」と対応するとタイトルと作者名、出版社もバッチリ。「それは、リクエストですね(^^;」と大人にはとても言いづらい。
(ペンネーム:たぬさん)
エピソード2
一般に開放している中学校図書館にいた時に、年配の男のお客さんに、お医者さんにドライアイと言われたので、涙が出る本を紹介してくださいと言われました。
(ペンネーム:くるみさん)
エピソード3
学校図書館で2年生に本の作りについて説明していたときのこと。
教科書に載っている表紙、背、しおり以外にも教えようと思って、天を説明しました。
「ここは天と言いますよ。ではここは?」と地を指差して子どもたちに質問したら、
「地獄」
と答えた子どもが!思わず「なるほど!」と膝を打ちました。
子どもの珍回答に和みました。
(ペンネーム:aloha-libraryさん)
エピソード4
授業利用レファレンス。ARAPPLIなどのアプリで図鑑から動画を見られる説明。すごいな!と感動してくれるのは大体45歳以上の先生。
(ペンネーム:あずきちさん)
エピソード5
小学2年生より「友達が借りてたネコの本を自分も読みたい」とのおたずね。思い当たる本を見せても、どれも違うとしょんぼり……その日は違う本を借りていきました。後日「あった!この本だよ!」ともってきてくれた本の表紙には、白狐のイラスト。なるほど~!耳がピンっとしてるからネコだと思ったんだね~!子どもの視点はおもしろいなぁ、かわいいなぁと、ほのぼのしました。
(ペンネーム:はちこさん)
エピソード6
小学校低学年の子からの質問「カキクケコは英語ですか?」にとても苦労しました。何か、感覚でうっすらと理解しかけている様子だったので、「カタカナ」「外来語」の本を紹介して少し解説しました。後半は、その子からの「じゃあ、〇〇は英語?日本語?」のクイズ大会になってしまい、先に進まず…。内心、どう終わらせるか困っていたら、「あ、〇〇の〇巻ありますか?」と話が変わって終了しました。改めて日本語の難しさと、子どもが日本語を習得していく過程の謎を実感したレファレンスでした。
(ペンネーム:ずんだもちさん)
エピソード7
「何かおすすめないですか?」と問われた。普通なら流行り本なんかを案内するかもしれないが、その時のお客さまはどこかもっと遠く、図書館の本の先にあるものを求めているように思えた。
だから僕は「今日はどんな気分ですか?」と聞く。そうするとお客さまは「実は落ち込んでて…」とのこと。よく聞いてみると、愛犬が亡くなってしまったとのことだ。
僕はどんな愛犬だったのかを尋ね、写真を見せてもらい、僕自身が可愛がっていたチワワの話をした。けっこうな時間が経った。
「ちょっとすっきりしました」と言ったお客さまは、笑顔を浮かべながら司書カウンターをあとにした。と、ここで気づいたのだけれど、僕は一冊も本を紹介しなかった。
これでは司書失格、ということではないと思う。このときのお客さまにとっては、そうして話をすることが最善の「ご案内」だったのかもしれない。レファレンスでは最初のヒアリングが肝心というが、その本質は「お客さまの必要とするモノ・コト」を見抜くためだ。
あのときのお客さまの笑顔を思えば、僕にとって最良のレファレンス事例のひとつだったと思う。図書館は本がある場所。そこでの営みは自由であり、本の力に護られているのだ。
(小宮山剛さん)