ポプラ社 百年文庫

名短篇の本棚です

全巻ラインナップ

賭
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賭

スティーヴンスン『マークハイム』
エインズワース『メアリ・スチュークリ』
マーク・トウェイン『百万ポンド紙幣』


Illustration(c)Sumako Yasui

天国か、地獄か?
明暗をわけた一瞬の物語

クリスマスの骨董品店でおきた殺人事件。罪を犯した男の妄想と恐怖を描いたスティーヴンスンの『マークハイム』。婚礼の前日、黒い瞳の女に心奪われた「わたし」。一瞬の忘我がもたらした運命の悪戯(エインズワース『メアリ・スチュークリ』)。イングランド銀行の地下室に眠る「百万ポンド紙幣」。特殊な目的のために発行された巨額紙幣を市中で使うことはできるか? 老紳士の賭けに巻き込まれた若者の冒険譚(マーク・トウェイン『百万ポンド紙幣』)。人生の明暗をわけた一瞬の物語。

著者紹介

スティーヴンスン R.L.Stevenson 1850-1894
英国スコットランドの作家。1877年に初の短篇『一夜の宿』を発表、83年の冒険小説『宝島』で一躍人気作家に。89年からサモア諸島に住み、その地で没した。夏目漱石など、日本の作家にも影響を与えている。他の作品に『ジキル博士とハイド氏』など。

エインズワース William Ainsworth 1805-1882
イギリスの作家。1834年の『ルークウッド』で人気作家となり、ディケンズをはじめ多くの文学者と交友を深める。おもに歴史に題材をとった小説を執筆し、『ジャック・シェパード』『ロンドン塔』などで知られる。40年代以降は「エインズワース・マガジン」などの雑誌編集長としても活躍した。

マーク・トウェイン Mark Twain 1835-1910
19世紀アメリカ文学を代表する作家。印刷工、水先案内人を経てジャーナリストになり、ユーモラスな文章で人気を呼んだ。『トム・ソーヤーの冒険』『ハックルベリー・フィンの冒険』などで知られ、「アメリカ文学の父」とも評されている。

編集者より

謎の女の出現、唐突に手渡された巨額紙幣、そしてクリスマスに訪れた強烈な殺意、あるひとつの出来事をきっかけに、運命の歯車がダイナミックに動き出す翻訳小説三篇です。ストーリー展開もさることながら、運命に抗い、その行き着く果てを見届けようとするそれぞれの主人公の姿が読み応えあり。『メアリ・スチュークリ』は訳者佐藤良明先生により新たに手が加えられました。(S)