一般書(963)
三つ星料理人、世界に挑む。
銀座小十などの三つ星料理人が、パリに日本料理屋、寿司屋、魚屋を開くなど真の日本料理を世界に広める信念を波乱の半生とともに描く。
発売年月 |
2014年10月 |
ISBN |
978-4-591-14101-4 |
判型 |
四六判 |
サイズ |
188mm x 128mm |
ページ数 |
223ページ |
主な対象年齢・学年 |
一般
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本の種類 |
単行本
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ジャンル |
ノンフィクション
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定価 |
1,430円(本体1,300円) |
著者は東京・銀座で
三つ星<小十>と二つ星<奥田>を構える気鋭の料理人。
その奥田氏が、昨年9月にパリに開いたのが<OKUDA>。
そこには、日本の「本物」をすべて注ぎ込みました。
料理はもちろん、建築、しつらえ、器、着物、おもてなしの心……。
食の都・パリに出店する以上、
日本料理の真髄を見せられなければ意味がないという強い決意があったのです。
そして、そのわずか5カ月後に一つ星を獲得。
かのアラン・デュカス氏はこう評しました。
「奥田の店の価値を認めることは、
フランス人が正しい舌と美的感覚を
もっていることを証明することなのです」
しかし、その道のりは苦難続きでした。
法律の壁、習慣の違い、食材確保の難しさ……
それらのすべてを克服しての一つ星でした。
しかも、その過程で、「どうしても、活きた魚が必要」ということで、
凱旋門に続く道沿いに魚屋をオープンすることに。
前日にブルターニュで水揚げされたばかりの魚が
店先の生け簀で泳いでいる魚屋です。
日本料理を世界に伝えるために、著者はなぜそこまでやるのか。
以下は本書の最後の一文です。
「私とすれば「一度は死んだ人間」という意識が常にどこかにあります。
<小十>を開店したものの、お客様がまったくいらっしゃらなかったあの日。
マンションから飛び降りる一歩手前までいった私を踏みとどめてくれたのは、
私欲のためじゃなく、もっと大きなことで働かせるためだったのではないかと思うのです。
残りの人生は、いわば神様がくれたチャンス。
そんな開き直りから、勝手な使命感にスイッチが入りました。
そして、そこから開けた世界には、
これまでお話ししてきたように、いろいろな奇跡が用意されていました。
日本料理をはじめとして、
衰退していく日本の文化、産業が正当な評価を受け、
新たな輝きを発している。
そんな十年後を目指し、
私の時間、思い、能力、エネルギーのすべてを捧げたいと思っています」