ポプラ社小説大賞

ポプラ社小説大賞は、第五回をもって終了いたしました。2011年度より、後継の賞として「ポプラ社小説新人賞」を実施しております。

ポプラ社小説大賞につきましては、ポプラ社が文芸書に本格的に力を入れていくにあたり、これまでにない賞を設け、意気込みを示したいという考えから創設いたしました。第五回の発表をもちまして、ひとまずその目的は達成できたと考え、「ポプラ社小説大賞」に区切りをつけ、現在は新人作家発掘に更なる力をこめる意味で、「ポプラ社小説新人賞」を実施しております。

第二回ポプラ社小説大賞

大賞

該当作
なし

優秀賞

『月のうた』

著者名:
穂高明(ほだか・あきら)32歳・女性
講評

中学三年生の民子は、父と後妻の宏子との3人暮らし。何かと実母・美智子と比べてしまい、宏子とはうまくいかない民子だったが、幼馴染の陽一の母・祥子から満月の夜の話を聞かされる……。ひとりの女性の妊娠、出産を通して、変わりゆく家族像を描いている。

民子や後妻・宏子などの視点から、それそれの生が交錯していく様子を浮かび上がらせる。“月齢”や“インドの花祭り”など「月」にまつわるエピソードが効果的に使われており、小説全体に静謐でどこか神秘的な印象を与えることに成功している。地味なテーマでありながら、構造的な巧さと人の営みの温かさを感じさせる筆致への評価が高く、今回の受賞に至った。

奨迎賞

『ラブ・パレード』

著者名:
秋山寛(あきやま・かん)31歳・女性
講評

幼い頃から自分の外見にコンプレックスを持っていた祥子は、周囲の人間を見返すべく猛勉強の末、東京の有名高校に見事合格する。しかし上京初日、身元引き受け人の叔母が行方不明の夫を追って海外へ行ってしまい、祥子は叔母夫婦が経営するフレンチレストラン“ラブ・パレード”のコックたちと一つ屋根の下で暮らすことに……。

“独特の面白さが感じられる”“映像化しやすい作品”と複数の選考委員が評価した。大賞・優秀賞とするにはキャラクター造詣の甘さ、ストーリー展開が類型的である等、いくつかの課題はあるとの意見が多かったものの、同時に作品の潜在能力の高さを強く認め、今回新設された奨励賞の受賞となった。

奨迎賞

『ガレキの下で思う』

著者名:
山下貴光(やました・たかみつ)32歳・男性
講評

ある日、学校が崩壊し、職員と生徒約2,000人が学校内に取り残される。ガレキの下で起きている様々な物語を拾い上げた連作短編。励ましあう双子、いじめの構造が逆転する二人、やる気のない教師とドロップアウトの生徒、癌宣告を受けた父を持つ男子生徒……。

一見、設定は災害小説を思わせるが、実は普遍的な人の物語。それぞれのエピソードに作者の人を描くセンスが垣間見え、今後が期待される。しかしながら、全体として読んだときには小説としての弱さも見受けられた。エピソードを繋ぐ背骨として使われていたキャラクターが弱い、最終章が新鮮味に欠けるなど課題もある作品ではあるが、最後まで読ませてしまうストーリーテリングの妙味は選考会でも評価が高く奨励賞となった。

最終選考作品
『月のうた』 作者名:穂高明(ほだか・あきら)32歳・女性
『ラブ・パレード』 作者名:秋山寛(あきやま・かん)31歳・女性
『ガレキの下で思う』 山下貴光(やました・たかみつ)32歳・男性
『秋鮭と無断欠勤』 十川靖生(そがわ・やすお) 33歳・男性
『オレンジソックスの甲子園』 後藤敏彦(ごとう・としひこ)50歳・男性
『孤高の犯罪者ここに誕生す』 中岡経光(なかおか・けいこう)50歳・男性

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