[このウインドウを閉じる]
ママの教育方針で、私の家では、炭酸飲料は、飲んではいけないことになっていた。
だから、はじめて呼ばれた友だちの家で、ラムネを出された時、どきどきしながら、コップに手を伸ばしたのをおぼえている。
そっと口にいれると、ぷちぷちとはじける泡が、のどをこがした。
甘くて、痛い味。
みんなは、何度もおかわりをしているのに、私はどうしても、飲みほすことができなかった。
(炭酸って、やっぱり苦手)
そう思ったはずなのに・・・・・・。
私は、ラムネのびんの一点に、すっかり目をうばわれていた。
テーブルの上、メロンゼリーのような薄緑色の光の中、ひときわ目立つ、まるくて暗い影。
軽く揺すると、からんと乾いた音がした。
(どうして、こんなところにビー玉があるの?)
いくら考えても、わからない。
窓の外から、みんなの笑い声が聞こえる。
ああ、そうだ。早く行かなきゃ、置いていかれる。
そう思うのに、ビー玉から目を離せない。
その色は、深くて、暗い青―――。
私は魂をぬかれたように、見つめていた。
いつまでも、いつまでも・・・・・・。

 (続)