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   歌舞伎の動きで、身体をリフレッシュ!

 あざやかな衣装を身にまとい、花道から颯爽と登場する役者たち。観客の気持ちを高揚させる、さまざまな見得と決め台詞。歌舞伎は、何百年もの歴史をもつ古典劇でありながら、現代の人々をも熱狂させる不思議な魅力をもっています。世界無形遺産への登録が決まるなど、日本が世界に誇るすばらしい伝統芸能です。
 歌舞伎を観る楽しみのひとつは、その独特の動きにあります。
 力強い足さばき、すべるように舞台を移動するすり足、軽やかな舞い、そして惚れ惚れするような見得のポーズ。本書は、誰もがイメージできる、これらの動きにひとつひとつ注目し、身体のさまざまな部位がどのように働いているのか、そして、この動きを模倣することで、どのような身体的効果がもたらされるのかを、大いに真面目に考えた本です。
 私は近年、「和」の動きに注目し、さまざまな機会を得ては、講演や著書などでそれらについて発表してきました。「和」といってもその裾野は膨大で、舞踊もあれば落語もあり、また古典芸能のみならず、かつての私たちの暮らしに登場していたモノにも着目してきました。
 たとえば、「和のうごきで健康に!」をキャッチフレーズに、日本舞踊の西川流家元・西川右近氏と共に考案した「健康のための日本舞踊」があります。これは、日本舞踊の世界に元気な高齢者が多いこと、心臓バイパス手術後のリハビリに舞踊が役立った家元自身の経験などから、踊りが「今の日本人に必要な身体づくりに使えるかもしれない、筋力の衰えを少しでも防ぎたい」という目的で考えられたものです。現在では、厚生労働省のモデル事業となり、全国のさまざまな場所で紹介・指導が行われています。
 身体を健康、元気に保つことは一朝一夕にできることではありません。規則正しい食事や睡眠に加え、適度な運動が必要だとわかってはいても、いざ始めてみると、なかなか思いどおりに身体を動かせず、長続きしない。それが多くの人の現状ではないでしょうか。
 では、そういう人でも楽しめる、思わず身体を動かしてみたくなる、面白くて体力づくりにも役に立つ方法はないだろうか――そんな発想から生まれたのが、この「なりきり歌舞伎体操」です。
 豪華な衣装や凝った舞台があるわけではありません。 でも、歌舞伎の動きを覚えて、観客席から眺めているだけだった贔屓の役者さんの身振りを、ちょっと試してみる。有名な台詞のひとつを声に出してみる。気分はすっかり歌舞伎役者です。
 まずは思いきりよく、“なりきって”みましょう。それがご自身の健康づくりに、きっと役立つはずです。