作家紹介

こどもの本を考える:西本鶏介
No.110児童書にもほしい「ブックレビュー」

ぼくがよく見るテレビ番組に「週間ブックレビュー」(日曜八時・NHK衛星第二)というのがあります。さまざまの領域から選ばれたゲストが3人登場してお気に入りの三冊を紹介し、いちおしの新刊一冊についてその推せん理由と感想をのべあい、後半は話題の本を書いた著者が登場して、司会者が読者に代わってあれこれ質問するという一時間番組です。読書人にとっては大へんに興味深く、ベストセラー本を書いた作者の意見が直接聞けるので本を買う時の情報源にもなります。


しかし、紹介される本はすべてが大人向きの本で、児童書が取りあげられることは殆どありません(たまにゲストがお気に入りの三冊に選ぶことはあっても、いちおしの一冊として推せんされることはない)。


この番組を見ながらいつも頭に浮かぶのは、児童書にも「ブックレビュー」みたいなものがあったら、もっと子どもの本が世間の関心を集め、読み聞かせをする人たちの本選びの参考にもなるのではという思いです。新刊本といっても書店に並ぶ本は少なく、大手の出版社以外は新聞に広告されることもありません。どこの社で、どんな本が出ているのか、一般の人にはかいもく情報がわからず、結局は自分で本を買う人がいよいよ少なくなってしまいます。


講演の中で面白い本について話したりすると、あとで必ずその本はどこから出版されているのかと聞きにくる人が多く、子どもの本の情報不足を痛感させられます。いかにインターネットが盛んになっても、タイトルと数行の内容紹介で本を選ぶのは容易ではありません。だからこそ「ブックレビュー」のような番組があったらの思いが強くなるのです。時にはゲストに子どもたちが登場してきて、好きな三冊を選び、おすすめの一冊について語るなんてことになれば、子どもの本はもっと売れるかも知れません。

西本鶏介(にしもとけいすけ)

1934年、奈良県に生まれる。児童文学の評論・創作・民話研究など幅広く活躍。各種の児童文学賞の選考委員をつとめる。昭和女子大学文学部教授。各ジャンルにわたって著書は多いが、読み聞かせのための本として『読みきかせ日本昔ばなし(10巻)』(小学館)『童話が育てる子どもの心』(同)『子どもとお母さんのためのお話(日本・外国)』(講談社)、『こどもと大人のためのメルヘン・グリム童話(1)(2)』(ポプラ社)、絵本に『お母さん、ひらけゴマ!』(同)などがある。

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