よみきかせ絵本ガイド
このガイドは、これからご自分のお子さまに「よみきかせ」をしたいと思っている方、または自分のイメージしている絵本がなかなか見つからなくて困っている方などのために、さまざまな角度から絵本をとりあげ、その方法と実践について、わかりやすくまとめたものです。
年齢別に分類してありますが、必ずしもこれにとらわれる必要はありません。
お母さん、お父さんのよみかた一つで、絵本の楽しみは限りなく広がっていきます。絵本は親子のコミュニケーションの道具にもなり、「よみきかせ」とは、ページを開くたびにかけがえのない親子の思い出をつくっていくことのできる至福の時間なのではないでしょうか。
このガイドとの出会いによって、ひとりでも多くの方が「よみきかせ」のたのしさを知り、また親子で感動にふれあうよろこびを感じていただけましたら幸いです。
絵本は親と子のよろこび~今日からはじめられる「よみきかせ」~
親と子の至福の時間
-このよろこびは代えがたいものです。
「よみきかせ」の体験というと、誰もがまず、お母さんに絵本を読んでもらっている自分を思い浮かべるのではないでしょうか。
絵本の内容までは思い出せなくても、夢うつつにきいていたなつかしいその声や、身体のぬくもりの記憶は、年月を超えても鮮やかによみがえってくるものです。意識下にまかれたそれらの種は、私たちが大人になる過程で、やがて物事を感じる心へとかたちを変えてゆくのです。
読書というものは本来一人の作業です。「よみきかせ」とは、そこに血を通わせる方法であり、その原点とは、親から子へ、そしてまたその子へと受けつがれる語りの文化なのではないでしょうか。そこにこそ、今「よみきかせ」の重要性が語られる理由があるのです。
よみきかせは親子にとって最高のコミュニケーションの場です。
よみきかせは、「好きなときに好きなだけ」するのが最もよい方法です。
夜寝る前に限らず、食事やおやつのあとなど、なごやかな団らんの時間によみきかせをしてみませんか。絵本も「好きなもの」でかまいません。
よみきかせというのは決してお勉強ではありません。あくまでもお母さん、お父さんとお子さんのコミュニケーションの場であり、絵本はそのための道具なのですから。かたくるしく考えずに、お子さんが一番よろこびそうな本を選んであげて下さい。そして、お子さんをひざに抱いて、優しく語りかけましょう。
反対に、お子さんが何か話していたら、じっと耳を傾けてあげることも大切です。
むずかしそうな絵本でも、
よみかたは工夫とアイデア次第。
このガイドでは、いまからお子さんに「よみきかせ」をしたいと考えているお母さん方や、自分のイメージしている絵本が見つからなくてお困りの方へのヒントとして、よみきかせに適している絵本を厳選し、年齢別にふりわけました。もっとも、必ずしもこれにとらわれる必要はありません。おなじ絵本でも、読む人の工夫とアイデア次第で、こどもの成長に応じたよみかたができるからです。
絵本は最初のページから最後のページまで、全てよまなくてはいけないと思いこんでいる方も多いと思います。しかし、まったくそんな必要はないのです。具体例として、
▲『もりたろうさんのじどうしゃ』
大石 真/作 北田卓史/絵 (ポプラ社刊)
『もりたろうさんのじどうしゃ』
(ポプラ社刊)
のケースをあげてみましょう。
お話としてはかなり長めで手応えがあり、大きいお子さんに適しているようですが、1さい半から3さいのお子さんでもじゅうぶんによみきかせが可能な絵本です。
(図1)
本をめくって最初の見返しのページに、自動車が数台ならんでいますね(図1) 。
例えばこの絵を使って、こんなふうに語りかけてみてはいかがでしょうか。
「お母さんはこれにのりたいなあ、○○ちゃんはどれにする?」
「もりたろうさん、きょうはげんきかな?」
など・・・・・・
このやりとりだけでも、お子さんは大よろこびのはずです。この時期のよみきかせとしては、それでじゅうぶんなのです。
100人お母さんがいれば、100通りのよみかたがあっていい。それが本来のよみきかせの姿です。絵本は、そうした、親と子のコミュニケーションをサポートする潤滑油なのです。
言葉が出てきたら、
こどもの探求心を刺激しましょう。
言葉を発しはじめてから幼稚園に入園するくらいまでの期間は、こどもが大きく変化するときです。
「お母さんの言葉をききながら絵本をながめる→絵と言葉がむすびついていく→言葉を聞いただけで絵が思い浮かぶ」
・・・このプロセスがよみきかせによって身についてゆけば、自然に想像力も大きく育ってゆくはずです。
やがて経験する社会との関わりの中でも、他人の気持ちが思いやれる心ゆたかな人間に成長する原動力となってゆくことでしょう。
また、本をよむことで、こどもはさまざまな間接体験をすることができます。
例えば『しろくまちゃんのほっとけーき』(こぐま社刊)という絵本の一場面。以前は指をさして「しろくまちゃん」と認識できるだけだった子が、1さい半から2さいぐらいになると、絵にある冷蔵庫と家の冷蔵庫を関連させて考えることができるようになります。実際に家の冷蔵庫からたまごをとりだして、しろくまちゃんとおなじように割ってみる子もいるそうです。
まねをすることによって、本当に絵本とおなじことができるのか、ためしているのです。
こうした体験は、こどもの発達において大変重要なことです。この時期には、とにかくいっぱい、いろいろなものを見せてあげて、お子さんの探求心や知的好奇心を刺激してあげましょう。
「もう一回」は魔法の言葉--根気よくつきあうことが大切です。
幼稚園にあがるころになると、多少長くてストーリーのある絵本のよみきかせもできるようになり、登場人物の立場や、「どうして○○なんだろう?」という疑問、さらには「もし自分ならこうするのでは」ということなどが、しだいに考えられるようになります。
小学校入学前ごろには、現実とイメージの区別がはっきりできるようになるので、民話やむかしばなしの絵本などは、この時期からがおすすめです。
小さなこどもは、ママが恋しくて、独占したいがために、つぎつぎと本を持ってきては「よんで」とせがんでくることもあります。また、お気に入りのページやフレーズがあると、「もう一回、もう一回」と何度もリクエストします。疲れているときにあまりしつこいと、うんざりすることもあるかもしれませんが、できるだけこたえてあげましょう。お母さんのおひざの上で「気持ちいい」と感じながら、こどもは自然に本にふれるたのしさをおぼえていくはずです。
また、お母さんの言い方や動作などをじょうずにまねできたら、「すごいね」とほめ、お子さんの意見や感想にやさしく耳を傾けてあげてください。
人は皆「愛されたい、ほめられたい、みとめられたい」願望をもっています。これらが満たされてはじめて、相手のためになにができるかを考えられるようになるのですから--。
お母さんにも絵本を
-こんな時代だから大人だって癒されたい。
社会で活躍する女性も多いこの時代、とにかくいそがしく、仕事と家庭の両立が大変という方もいるでしょう。
本のよみきかせなんて・・・
と思われるかもしれません。でも、ここで思いきって発想を転換してみてください。めまぐるしい毎日だからこそ、10分でもいい、親子の心が最も深いところでふれあえる「よみきかせ」の時間を作ってみませんか。ゆったり声をだしてお子さんによみきかせしているうち、お母さん自身も心が落ち着いてくるはずです。
一冊の絵本と親の愛情があれば、いつでもはじめられる「よみきかせ」。あなたも、その楽しさと、親子の心がふれあうよろこびを体験してみませんか。


















